2025.07.09NEW

「大麻」ではなく「リラックス効果クッキー」…山梨学院大レスリング部での飛び降り事件

 読売新聞で報じられ、共同通信やNHKでも後追い報道された山梨学院大レスリング部の10代選手の「飛び降り・大けが」報道に関し、「大麻」という言葉が大きく伝わっているが、警察の調べで、選手の食べたクッキーには大麻成分であるカンナビノイドが含まれているものの、大麻ではなく、「違法性、事件性はない」と判断したことが分かった。

 問題の一件は5月、部員がインターネットでクッキーを購入。総合格闘技(MMA)選手やK-1選手がSNSで「リラックス効果がある」と推奨しているもので、楽天やamazonなどでも購入可能な食べ物。別の部員がそれを食べたあと、寮の2階から転落し、頭の骨にひびが入るなどのけがを負った。

 クッキーを購入し、食べた選手らは成分を知らず、飛び降りたことがクッキーの成分によるものかどうかは不明。インターネットでの情報では、カンナビノイドには「リラックス効果」「ストレスや不安の緩和」「睡眠の質の向上」「抗炎症作用」「鎮痛作用」があり、一部に「精神活性作用」があると説明されているが、幻覚症状を引き起こす成分ではない。

 したがって、最近続けざまに起きた国士舘大・柔道部、天理大・ラグビー部、専大・柔道部の大麻使用事件とは性質を異にし、逮捕者も出ていない。ただ、山梨学院大レスリング部は、けが人が出た事実を重く受け止め、かかわった4選手の公式戦出場を停止にしている。

 一方、一連の捜査の中で、20歳未満の複数部員が飲酒していたことが発覚。同部ではこの事実を認め、各選手を一人ずつ事情聴取した結果、上級生による強要はなかったとしている。7月9日から東京・駒沢体育館で行われる東日本学生選手権は全選手の棄権を決めた。

 報告を受けた東日本学生レスリング連盟は、今後、臨時理事会を開いて対応を協議するという。一般社団法人 大学スポーツ協会(UNIVAS)が「競技者個人に違反行為があった場合の責任は、原則としてその行為を行った個人のみが負うべきであり」と、安易に連帯責任を科さないことを求めており、UNIVASが集めた各競技団体の処分例からして、「注意」または「厳重注意」といった処分になることが予想される。