4月のシニア・アジア選手権の女子で「金2・銀4・銅1」を取り、男子フリースタイルでも「金1・銅1」を取った北朝鮮の勢いが、先月行われたU23アジア選手権(ベトナム)でも続いた。女子は2選手が出場して「金2」、男子フリースタイルも2選手が出場して「金1・銅1」、あまり得意ではなかった男子グレコローマンでも2選手が出場して「銅1」を取った。
今年のシニア・アジア選手権決勝で清岡もえ(育英大)をテクニカルスペリオリティで破ったのは、パリ・オリンピック3位のチョ・フンギョン。今回のU23アジア選手権の同級を制したのは、昨年のアジア選手権を制したキム・ジヒャン。すなわち、この階級には最低2選手の世界トップ選手がいることになる。
U23の女子57kg級を制したアン・ジンユは20歳の新鋭で、昨年のU23世界3位のインド選手を破っての栄光。やはり世界トップクラス選手であることが予想される。
男子フリースタイル57kg級も、シニア・アジア選手権を制したのがハン・チョンソンで、U23アジア選手権優勝は別顔のキム・クワンヒョン。この階級にも世界的な強豪が2選手はいることが推測される。
同国は2021年東京オリンピック不参加のペナルティーで国際大会参加停止の制裁を受け、2020年から2023年途中まで国際大会に参加できなかった。制裁が解除され、2023年アジア大会で「金1」(女子62kg級)を獲得。2024年パリ・オリンピック・アジア予選で男女4選手(男子グレコローマン1・女子3)が勝ち抜いてパリのマットに立った。
昨年は11月の世界軍隊選手権(アルメニア)にも出場し、男子フリースタイル2階級、女子4階級、男子グレコローマン1階級を制し、徐々にに試合感覚を取り戻している。
突然現れた無名選手がずば抜けた強さを発揮するのが同国の特徴。9月の世界選手権(ザグレブ)では、北朝鮮の選手が脅威となる可能性は十分だ。