(文・撮影=布施鋼治)
ラストは金メダリストとの連続20本スパーリング! 6月28日午後、高知県立青少年センター小アリーナで「櫻井つぐみ・清岡幸大郎W金メダリストによるレスリング講習会」(経験者向け)が開催された。
約140名の参加者は翌日の大会出場者が大半で、四国のみならず、大阪、京都、神奈川、広島、岡山、山口、島根からも参加者がいた。
広島県三次市からやってきた中1男子選手に参加した理由を聞くと、「オリンピックの金メダリストに習って、もっとレスリングが強くなりたかったから」と目を輝かせながら話す。同じく中1の女子選手は愛媛県から「前より強くなりたくて来た」と言う。キャリアは9年ほど。終了後は「こういう講習会があったら、また出たい」と声を弾ませた。
圧巻は櫻井と清岡が惜しげもなく自分たちの得意技を教えたレッスンだろう。櫻井はパリ・オリンピックで金メダル獲得の決め手となったツーオンワンの使い方を指導した。
「相手をしっかり動かして!」
「ヒジと手首は同時に取ること」
「とった手首を突き上げるようにプレッシャーをかけて!」
清岡はハイクラッチと“伝家の宝刀”とも言えるリンクルを伝授した。ハイクラッチだと、「胸をしっかりとまっすぐぶつけること」「うまく相手の足を引き出して入る。足の位置が一番のポイント」と具体的な指示を送っていた。
一方、パリ・オリンピックの決勝で連続で決めたリンクルに入るアドバイスも事細かに送っていた。「(回す前段階で)相手の片足を引き上げたら、ワキで抱え込むのではなく、太股とは脇腹で挟み込むようにすること。そうすると、両手が使える」。この講座の開催が決まると、清岡はSNSで「何でも教えちゃう」と公言していたが、それを具現化した格好だ。
櫻井や清岡に技の注意点やポイントに耳を傾けながら、受講生はみな神妙な面持ちで打ち込みを試みていた。そんな彼らの熱意を後押しするかのように、櫻井優史大会競技委員長は「分からない人は、どんどんつぐみ先生や清岡先生に質問してください」と背中を押した。
教える方も真剣ならば教えられる方も積極的という空気が出来上がっていただけに、みな真剣に具体的な質問を飛ばしていた。講習会の最後に盛り込まれた櫻井や清岡とのスパーリングは希望者を募ると、受講生たちは我先にと右手を上げる。ふたりは疲れた素振りを見せることなく、それぞれ20本のスパーリングを連続してこなしていた。
それが終わると、今度はサイン&撮影会。13時半に始まった講習会は3時間以上の充実したイベントとなった。