(文・撮影=布施鋼治)
6月28日、高知県立青少年センター小アリーナにおいて、「櫻井つぐみ・清岡幸大郎W金メダル記念 レスリング体験教室」(初心者向け講座)が開かれた。幼児、小学生、中学生を対照的に、少しでもレスリングを知ってもらおうと企画されたイベント。
大会を支えた櫻井つぐみの父・櫻井優史大会競技委員長は「告知したら、すぐ定員の100名が埋まりました」とうれしい悲鳴をあげた。「追加で50名ほど募集したら、こちらの方も半日で埋まってしまいました」
92年ぶりに高知県からオリンピック金メダリストが輩出されたという偉業は、パリ・オリンピックから1年近く経っても色褪せなかった。
参加者は地元高知の幼児が多かった。背中に尻尾のようにタオルをつけたレスリング経験者を追いかけたり、追いかけられたりする鬼ごっこ、四つんばいになってのワニ歩きなど、レスリング流の楽しい練習で笑顔とともに汗を流した。
高知県在住で3歳と4歳の女子児童を連れてきた30代夫婦の妻は「幼稚園で配布されたチラシで体験教室の存在を知りました。もらったその日に申し込みました」と話す。夫は「子供たちにホンモノを見せてあげたかった。すごくいい経験になったと思う」と顔をほころばせた。
子供が通っている保育園と小学校でチラシを受け取ったという30代の夫婦は「レスリングは(あらためて)体を使う競技であることがわかりました」と振り返った。「ウチの子(年少と小1)がすぐ闘えるか、となれば難しいけど、レスリングの基礎ができたら、どんなことにもいかすことができると思いました」
体験教室が終わると、櫻井や清岡からサインをもらったり、一緒に記念写真を撮ろうと、参加者の長蛇の列ができた。櫻井と清岡はそれぞれ一組ずつ(保護者と一緒という初心者が多かった)、親切丁寧に対応していた。初めてレスリングに接した子供たちにとっては記憶に残る思い出になったのではないだろうか。
櫻井競技委員長は「高知県で競技のすそ野を広げるためには、今がチャンス」と訴える。「幸い、つぐみは、いま高知県にいる。この熱があるうちに、今後も初心者教室は定期的にやっていければと思っています」
近い将来、この体験教室をきっかけに、レスリングを始める子が高知から出てくるかもしれない。