2025.05.31NEW

「いつまでも余韻に浸っていてはいけない」…元木咲良(育英大助手)が明治杯全日本選抜選手権への意気込みを話す

 昨年のパリ・オリンピックで金メダルを取った女子選手で唯一、今年の明治杯全日本選抜選手権(6月19~22日、東京体育館)に出場する62kg級の元木咲良(育英大助手)が5月30日、オンラインで報道陣の取材に応じた。

 すでに4月のジュニアクイーンズカップU23に出場しており、今回が再起戦ではない。世界で2人しか成し遂げていないグランドスラム(オリンピック&4世代の世界一)を達成するためには、今年が最後となるU23世界選手権の優勝が絶対条件。4月はそのための出場であり、来年以降も出場できるシニアの世界選手権は無理して出場する必要はないと考えられていた。

▲4月のジュニアクイーンズカップ優勝に続き、シニアの世界選手権代表を目指す元木咲良=撮影・保高幸子

 実際に、多くの人から「(全日本への復帰は)12月の全日本選手権でいいのでは?」と言われたそうで、2000年シドニー・オリンピック代表の父・康年さんも「出なくていいんじゃないか」と言ってきたという。しかし、父のアドバイスを「目標達成後の(さらに目標へ向かうことの)つらさを知っているからだと思います」と受け止め、「いつまでも(パリの)余韻に浸っていてはいけない。区切りをつけるため」として出場に踏み切った心境などを明かした。

 オリンピック前は心身ともにきつく、オリンピックを区切りに「レスリングをやめるつもりだった」と言う。目標を達成してみると、楽しんでレスリングができるようになり、レスリングが好きなことを再認識。向上心が出てきたことも、いち早く復帰を決めた要因のようだ。

 出場する62kg級には、パリの68kg級に出場して銅メダルを取った尾﨑野乃香(慶大)もエントリーした。熾烈な闘いが予想されるが、「わくわくしている」と気持ちは高揚しているもよう。世界選手権の代表権を取るには、優勝したあと、昨年12月の全日本選手権を制している尾﨑とのプレーオフに勝つ必要があり、きつい闘いとなる。「敬意を忘れず、しっかり倒しにいきたい」と、勝ち抜くことを宣言した。 

▲尾﨑野乃香(赤)との激闘、再びか?=2022年全日本選手権(撮影・矢吹建夫)