2025.05.29NEW

5.23~25ベルトレスリング・アリシュ、アジア選手権(インド)報告

監督 黒崎辰馬(神戸医療未来大)


 ベルトレスリング・アリシュのアジア選手権が5 月23~25 日、インド・ニューデリーで開催され、日本から4 選手が出場した。

 アリシュはキルギスの伝統レスリングで、胸の位置で結んだベルトを互いにつかみ、いかに相手を投げるかという競技。世界レスリング連盟(UWW)からノンオリンピックスタイルのトラディショナルレスリングとして認定されている。

 スタイルには「クラシックスタイル」「フリースタイル」の2 つのスタイルがあり、クラシックスタイルでは足を使った攻撃や防御は認められていないが、フリースタイルではそれが認められている。

 日本からは毎年選手を派遣しているが、今回は日本として初めて審判員も派遣した。

 日本選手団および出場種目・結果は下記の通り。

▲日本チーム


日本選手団・成績

【監督兼審判員】
黒崎辰馬(神戸医療未来大)

【選手】
堀山貴斗(福岡大)
松山達哉(大体大浪商コーチ)
焼本 慎(福岡大)
岩澤泰紀(福岡大)

【出場種目・結果】
《アリシュ・クラシックスタイル》
堀山貴斗:70kg級5位
松山達哉:80kg級5位
岩澤泰紀:+100kg級5位
チームランキング5位(8ヶ国中)

《アリシュ・フリースタイル》
堀山貴斗:70kg級7位
焼本慎:80kg級4位
岩澤泰紀:+100kg級4 位
チームランキング6位(9ヶ国中)


参加選手の声

 ■黒崎辰馬・監督兼審判員(神戸医療未来大)「今大会に初めて審判員という立場で参加させていただきました。審判として試合で笛を吹くためには、審判講習を受講し、筆記試験と実技審査に合格することが必要なため、今回はそれらをすべて受けました。

 講習では、身体のどの部位がつくと何ポイントになるかといった得点の詳細や勝敗の付け方などが説明され、内容の詰まった会となりました。筆記試験に関しては講習の内容を反映させた問いが出題され、ルールの十分な理解が求められるものでした。また、実技審査については、大会2日目までジャッジを行い、3日目(大会最終日)にレフェリーを行いました(アリシュの審判団はレスリング同様、レフェリー、ジャッジ、マットチェアマンの3名で構成される)。技の展開を瞬時に見極め、正確に判定することの難しさを身をもって感じました。

 しかしながら他国のUWW 認定審判員の方々の厚いサポートもあり、無事に全日程を終えることができました。こうしたサポートの裏には、これまでに先人の方々が築いてこられた関係性などがあるのだということを改めて実感しました。今回は、審判員としての業務があったため、日本選手の試合のすべて見ることはできませんでしたが、どの選手も思い切りの良い試合を展開し、存在感を示していたと思います。試合後には他国の指導者が日本選手のもとへ技術を教えに訪れる場面もあり、日本人選手への期待の高さも強く感じられました。

 今回の遠征では、競技の内外で先人の方々が築いてこられた礎の大きさを実感する機会にもなりました。ベルトレスリングとレスリング、さらには関連する各競技との橋渡しができるよう、今後も尽力してまいります。

 最後になりましたが、今大会に参加するにあたり、ご支援いただきました関係者の皆様、応援いただきました皆様に心より感謝申し上げます」

▲国際大会の舞台でレフェリーを行った筆者=黒崎辰馬


 ■両スタイル+100kg 級・岩澤泰紀(福岡大)「Alysh ベルトレスリング・アジア選手権は、アジア各国の選手が集まり、技術を競い合う国際大会であり、今回、私は初めてこの大会に出場する機会をいただきました。インドという異文化の地で、多様なバックグラウンドを持つ選手たちと触れ合うことができ、競技を通して文化の交流を実感することができました。

 私は、クラッシックスタイルとフリースタイルの2 種目に出場しました。初めてのベルトレスリングの国際大会ということもあり、ルールや試合の進行などに戸惑う場面もありましたが、試合を重ねるごとに適応し、自分の課題や今後の目標も明確になりました。特に、タイミングや相手の動きの予測といった面では、さらに技術を高める必要性を強く感じました。

 このような貴重な経験をさせていただいたことに感謝し、今回の学びを今後のレスリングに活かしていきたいと思います。関係者の皆様に心より御礼申し上げます」

▲アジアの強豪選手と対戦した岩澤泰紀


 ■両スタイル70kg級・堀山貴斗(福岡大)「今回、アリシュベルトレスリング・アジア選手権に初めて参加させてもらいました。なじみのないベルトレスリングという競技をインドで行うということで、期待の反面、不安な気持ちが多くありました。今年の2 月に福岡大学でベルトレスリングの講習を受け、この競技に興味を持ち、大会に出てみたいと強く思いました。短い期間ではありましたが、ふだんレスリングをやる中で、ベルトレスリングの練習を鍛錬しました。

 結果は、クラシックスタイル5 位、フリースタイル7 位とメダルを取ることができませんでした。海外で戦うということは自分が知らない技や組み手争いなど自分が持っていないスキルを身につけている選手が多いと実感しました。また改めて日本を背負って戦うということは責任が重くのしかかって来るということを実感しました。

 最後に、今回アリシュベルトレスリング・アジア選手権に出させていただき、ベルトレスリングの技術を体験したり、各国の選手との関わりを深める機会をいただいたりしたことに、とても感謝しています。この学びをレスリングにも活かしたいと思います。今回はあまり良い結果は残せなかったですが、次回またこのような大会に出られる機会があれば挑戦したいと思います!!」

▲クラシックスタイルに挑んだ堀山貴斗


 ■クラシックスタイル80kg級・松山達哉(大体大浪商高コーチ)「今回、クラシックスタイルに出場させていただきました。昨年のWORLD NOMAD GAMES の反省を活かし、アジア選手権に向けて技術強化を中心に取り組んできました。コンディションもよく、メダルを取りに行くと強い気持ちで挑みましたが、満足いく結果は残せませんでした。次の大会に向けて反省点を修正し、より強豪国に近づけるアリシュを目指したいと思います。

 この大会では若手選手3 名の参加により、セコンドにも付かせていただきました。レスリングの時のセコンドとはまた違った難しさを感じたり、新たな発見にもつながりました。また試合前に他国の選手と一緒に組み合ったり、コミュニケーションをとりながらのウォームアップはとても有意義な時間であり、若手選手や私自身とても貴重な経験をすることができました。

 引き続きベルトレスリングへの参加及び普及活動に尽力したいと思います。最後に今回の大会参加にあたり、関係者の皆様に深く感謝申し上げます」

▲クラシックスタイルに挑んだ松山達哉


 ■フリースタイル80kg級・焼本慎(福岡大)「今回、私はフリースタイルに参加させていただきました。自分としては、初めての海外遠征で様々な不安がある中での大会となりました。今年ベルトレスリングの講習会に参加させていただいて、レスリングフリースタイルとは違った面白さを知り、もっとベルトレスリングについて学びたいと思いました。

 結果は4 位とメダルには一歩及ばない結果となりました。日本では、ベルトレスリングは、深く普及していない一方で、海外ではベルトレスリングを専門種目として行っている選手が多くいて、ベルトレスリング特有の技術や力の使い方など様々な面で技術の差を感じました。

 最後になりましたが、今回アリシュベルトレスリングアジア選手権に参加させていただき、この大会の関係者に深く感謝を伝えたいと思います。この大会で培った知識や技能を今後のレスリングに活かしていきたいと思います」

▲フリースタイルに挑んだ焼本慎