2025.05.19NEW

「アンケートで意見を集約します」…西日本学生連盟・福川敦新会長に聞く

 5月10~11日に大阪・堺市金岡公園体育館で行われた西日本学生春季リーグ戦で、西日本学生レスリング連盟の理事長から昇格した福川敦・新会長の指揮がスタートした。長年の懸案の学生レスリング界の東西格差も小さくなっている昨今、その手腕が期待される。新会長に、西日本学生レスリング界の展望を聞いた。


--会長になって初めての大会です。2日間を見た感想からお願いします。

福川 やることは理事長時代と同じなんですけどね(笑)。今年、各チームとも強豪1年生が入ったのでしょう、1年生が活躍している大会、という印象があります。上級生にもう少し頑張ってほしい、ということを感じました。

--1年生が頑張っていることは、将来に向けては、いい材料なのではないでしょうか?

福川 それはありますが、やはり上級生が引っ張ってこそ大会が盛り上がるわけです。大会の盛り上がりのために、秋季は上級生の踏ん張りを期待したい。

▲西日本学生レスリング界発展のための手腕が期待される福川敦・新会長=撮影・保高幸子

--東日本学生リーグ戦は、今年から新たなシステムで実施されます。西日本のリーグ戦は、いかがでしょうか? 一時期(2018・19年)、8チーム総当たりの1ブロックでやっていましたが…。

福川 コロナ対策のため2ブロックに戻しました。コロナが終息し、1ブロック制に戻そう、という意見もありますが、大方の意見は「2ブロック」なので、2ブロック制で続けています。意見として上がっているのは、現在の年2回(春季、秋季)を1回で、という要望です。地方の大学は大会のたびに遠征費がかかるわけです。東日本のようにリーグ戦は年1回でいいのでは、という声があります。今回、アンケートを取って、さらに意見を集める予定です。

要望が大ければ8大学総当たりのシステム復活も

--アンケートの結果、1ブロックで、という要望が多ければ、8チーム総当たり戦の復活もありうるわけですね。

福川 ありえます。

--8チーム総当たりというのは、最初のうちに1敗しても優勝の可能性が十分に残されていて、面白さはありましたね。

福川 その面白さはありました。ただ、各チームが7試合をこなすことになり、部員が少ないチームはきついわけです(現在は4試合)。どんな意見が出てくるか楽しみです。二部リーグについては、部員不足で参加できないチームもあって参加数が確定しませんので、7チームまでなら1ブロック、8チーム以上になったら2ブロック、という規定を続けることになると思います。

--夏の全日本学生選手権(インカレ)は東日本で開催、秋の全日本大学選手権は大阪での開催が定着しています。この東西の振り分けは続きますか?

福川 全日本大学選手権は日本協会が主催で、西日本学生連盟が主管している大会です。インカレもですが、隔年開催ですと会場の確保が難しくなるので、このままで問題なければ、現在のやり方が続くと思います。大阪の宿泊費が高騰しているので、審判員などにかかる経費が高くなっているのが現状です。経費削減の方策を考えないとなりません。

--大会開催にかかる経費削減は、どの連盟も共通する課題ですね。

福川 西日本学生選手権も、以前は試合が3日間で、その前日に会場設営していました。今年度からは3日間借りて、初日の午前中に会場をつくり、午後から試合開始とし、会場使用料や地方から来る人の宿泊代を節約しています。西日本学生選手権のときに行っている初心者の大会、アルキメデスの部は令和4年度(スタートから19回目の大会)から、連盟の行事としてやっています。今年度からトーナメントではなく、旧勝ち点方式(2敗するまで闘う)でやって、選手の試合数を多くして経験を積ませるようにしています。

▲マットに近いところまで応援席があり、盛り上がる西日本の大会

全日本コーチの西日本加入で活性化を期待

--大体大の監督に全日本コーチの湯元健一氏が就任しました。西日本の活性化につながるのではないでしょうか。

福川 湯元監督には力を発揮していただきたいと思います。大体大は附属の浪商中学・高校からの一貫強化体制でやっていますので、モデルケースになればいいと思います。立命館大も水口貴之監督が就任し、キッズクラブからの一貫体制を目指しています。

--冬に関西の大学を集めて天理大で実施している関西オープン合宿は、連盟とは無関係な行事でしょうか?

福川 帝塚山大が、鈴木貫太郎監督が勤務する三恵海運さんの支援を受け、関西の大学のレベルアップのためにやっている合宿で、連盟は直接タッチしていません。多くの大学、さらに高校が集まっての合宿は非常に有意義だと思います。三恵海運さんからは連盟も協賛していただいています。

--今年の関西オープン合宿には、パリ・オリンピックの金メダリスト(日下尚、清岡幸大郎)が講師として参加したわけで、そうそうない機会ですね。

福川 以前は連盟としての合宿もやっていまして、日本協会の強化委員会から世界選手権のメダリストを派遣してもらったこともあります。コロナで中止となり、まだ復活していません。近々、復活させたいです。

▲福川敦・新会長(後列左から2人目)と三恵海運・高田肇相談役(前社長=大体大レスリング部OB)

--西日本での海外遠征は、昨年から欧州の大会出場ではなく、韓国での練習になりました。

福川 日本協会からの補助金の問題で、欧州は断念しました。経費が安く済む韓国でしっかり鍛えることにしています。

--西日本学生連盟は、学生役員の男女比率が同じか、女子の方が上回っています。この点では日本レスリング界の最先端をいっていますね。

福川 女子マネジャーの数が多いからかもしれません。多くの大学に学生役員を出してくれるようお願いし、女子の役員が多くなっている、という感じです。

--女性審判の数も多いですね。

福川 当時の小池審判長からの勧めもあり、女性審判員の育成にも力を入れてきています。ゴールデンホイッスル賞を制定して、男女にかかわらず審判員の目標となる賞をつくり、審判員の育成にも力を入れています。今の課題は、事務局業務を手伝ってくれ、後継者となるべき人材の育成です。