2025.05.01NEW

【2025年JOC杯・特集】日米を往復して2世代の世界選手権出場を目指す…U20男子フリースタイル57kg級・坂本輪(CWC)

 米国を闘いの場に選んだ坂本輪(CWC)がU20男子フリースタイル57kg級で優勝。昨年12月の全日本選手権を制した実力を見せた。山鹿辰士(山梨学院大)との決勝は、一時は2-3とリードされたが、スタミナの差は明白で、ラスト1分でアンクルホールドを連発。9点を奪取し、フルタイムを闘うことなく勝負を決めた。

▲全日本王者の実力を発揮してU20を順当に制した坂本輪(CWC)

 ただ、「もっとアクティブなレスリングをしたかった」と、内容には決して満足していない。それは、準決勝の永井陸斗(日大)戦でも、4-4で試合が終わってビッグポイント差で勝っていたが、チャレンジを出されるきわどい判定の末の勝利だったことにも言えるのだろう。

 3月のアジア選手権(ヨルダン)でメダル獲得を逃し、「ややナイーブ(精神的不安定)な状態になっていた」ことと、体重調整がうまくいかず体が思うように動かない面があったそうだ。ただ、「ばてずに最後まで自分のレスリングをする持ち味は出せた大会だった」と振り返った。

▲決勝は相手のスタミナ切れをつき、アンクルホールドの連発で勝負をつけた

「小野(正之助)さんと並べてもらえるだけでありがたい」

 昨年、オクラホマ州立大に入学し、来季の133ポンド級のレギュラーを予想する報道もあるほど評価が高い(関連記事)。「それに対するプレッシャーは?」との問いに、「ないです」と苦笑い。ペンシルベニア州立大に小野正之助(山梨学院大を休学)が入学することになり、133ポンド級で起用されれば、全米大学(NCAA)選手権史上初めて日本選手対決が実現する可能性も出てくるが、「いえいえ。小野さんと並べてもらえるだけでありがたいです」と謙遜した。

 米国は、大学レスリング(カレッジスタイル)のシーズンが終わり、今はクラブでフリースタイルの練習に専念できる。この大会のあと米国に戻り、十分に練習を積んで明治杯全日本選抜選手権(6月19~22日、東京体育館)のときに帰国。すぐに米国へ戻り、8月のU20世界選手権(ブルガリア)へ向かう。

 パリ・オリンピック57kg級2位のスペンサー・リーはアイオワ大出身、2023年世界選手権61kg級王者のビタリ・アルジャウはコーネル大出身で、米国で練習する機会はないが、選手が多くて層の厚い米国で鍛えられる今後が楽しみ。

 シニアの世界選手権代表になれば9月にクロアチアへ向かうことになり、世界をまたにかけての活躍。「今年の目標は、シニアで世界レベルにまで持っていくことです」と話し、世界への挑戦が始まる。

▲3月のアジア選手権に出場した坂本。米国および世界への挑戦は、今年から本格的に始まる=UWWサイトより