2025.04.18NEW

【2025年ジュニアクイーンズカップ・特集】今年最大の目標はU23世界選手権…女子62kg級・元木咲良(育英大助手)

(文=布施鋼治)

 グランドスラム達成に向け一直線! 2025年ジュニアクイーンズカップ最終日のU23-62㎏級に出場したパリ・オリンピック金メダリスト、元木咲良(育英大助手)は、決勝で伊藤渚(日体大)に1分2秒でフォール勝ち。10月にセルビア・ノビサドで行われるU23世界選手権の代表に内定した。

「パリ・オリンピックに出てから試合間隔が空いてしまった。実戦感覚を取り戻す意味でも、一番いいタイミングでの試合だったと思います」

▲約8か月ぶりの実戦は、1分2秒で勝負を決めた元木咲良(育英大助手)=撮影・保高幸子

 エントリーが2選手だけだったので初戦が決勝となったが、元木はすべてをポジティブにとらえていた。「減量の影響もあって、朝は動きが悪かった。でも試合(決勝)まで間が空いたので、しっかりリカバーすることができました。アップしているとき、『あっ、調子いいな』と思いましたから」

 オリンピックでの栄光は人を変える。元木はその好例で、パリ・オリンピックのときより表情に自信が浮かび上がっているように映った。

 「パリが終わってから練習していない期間もあった。練習を再開したら後輩にやられたり、点を取られたりすることがあって、『このまま負けたらどうしよう』と考えることもありました。でも、負けたら負けたで、そこからはい上がる姿を見てもらえればいいな、と」

群馬大大学院で健康科学を学ぶ

 元木は、すでにオリンピック、世界ジュニア(現U20)選手権、世界カデット(現U17)選手権)を制している。残るU23とシニアの世界選手権を制することができれば、須﨑優衣以来、日本レスリング史上2人目となる「世界グランドスラム」達成となる。

▲自信にあふれた試合運びで、世界グランドスラムへ照準を合わせる=撮影・保高幸子

 次の大会出場はシニアの世界選手権予選を兼ねた明治杯全日本選抜選手権(6月19~22日、東京体育館)になる予定だが、国際大会はU23世界選手権をフォーカスする。「U23は今年しか出られない。シニアの方は何歳になっても出られるので、焦らない。体調面だったり技術面をしっかり整えて臨むことができたらいいと思っています」

 今春、群馬大学大学院に進学。育英大助手として現役活動を続けながら、健康科学を学ぶ道を選んだ。

 「まだ授業は一回しか受けていないけど、内容は難しかったりします。でも、すごく面白いというか、やっぱりレスリングと一緒で、研究の方も予習と復習が大事だと思いました」

 セルビアでも花は咲くのか。