クラブの創始者であり、偉大な名匠だった大澤友博・元監督が昨年9月に亡くなって以来、初めてめての全国大会となった日体大柏(千葉)は、自由ヶ丘学園(東京)と花咲徳栄(埼玉)の関東勢を含めた4試合に勝って決勝に進出。2年ぶりの優勝を目指したが、文大杉並(東京)に敗れ、天国の大澤監督に朗報を届けることはできなかった。
準決勝までの4試合の内訳で、不戦敗を除く黒星は2試合のみという強さを見せたが、勢いのある文大杉並には、重量2階級が不在というハンディは大きかったかもしれない。丸山蒼生監督は「5人(控えの2人を除く)で勝ち抜くという目標をもってやってきた。人数の問題も大きいけれど…。今ひとつ勝ち切れなかったですね」と無念そうな表情。
だが、5人での闘いで準優勝を勝ち取ったのは健闘と言える結果だろう。その要因を問われると、「レスリングは、好きになって、楽しんでやらなければ強くなれません。自分の信条です。きついことも必要ですが、それだけでは長続きしない。選手はそれを実践しています。楽しんでレスリングをやっていることだと思います。みんな仲がいいですし」と答えた。
大澤監督は、昨年のインターハイのときはかなり危ない状況だった。学校対抗戦は2回戦で自由ヶ丘学園に敗れて3位入賞を逃してしまったが、個人戦で2選手が優勝。報告へ行くと、驚くとともにすごく喜んでくれたという。だが、学校対抗戦での優勝の報告を届けたかったのが正直な気持ち。
大澤監督が貫いてきた団体優勝(全国高校選抜大会24回、インターハイ28回=関連記事)を「引き継ぎたい」ときっぱり。「OBとして、団体が強くなければいけない、という気持ちで指導しています。(霊前に)もう一歩だった、という報告をするとともに、夏を見ていてください、という気持ちも伝えます」と、インターハイでの雪辱を誓った。
2023年夏に部内で起こった不祥事で、同年のインターハイの出場を辞退。スタッフや体制を一新して再出発し、昨年はこの大会でベスト8(関連記事)、インターハイで2回戦敗退(前述)。今回の準優勝で、ようやく先が見えてきた感がある。同監督は「校長先生を含めた高校のバックアップがなければ、ここまで来ることはできなかったと思います」と、周囲の支援への感謝の言葉を口にした。
レスリングの指導は、早大時代の2023年に学生二冠王者(全日本学生選手権、全日本大学選手権)に輝いた山倉孝介コーチが外部指導者として加入し、週3~4日は練習に参加。強力な体制ができたが、「それだけでは、ここまでは来られなかったですよ」と振り返る。
廃部も取り沙汰されたクラブを守り、盛り立てるため、レスリング経験者ではない顧問の2人の先生が選手の送迎や事務手続きなどに尽力。それがあるからこそ、丸山監督と山倉コーチが指導に力を注げると言う。
「学校に感謝です。保護者のサポートにも感謝しています。選手には、そのことは繰り返し伝えています。人間としても成長してほしいです」と言う。4月からは重量級に新入生が入る予定で、フルメンバーでの闘いとなる。多くの人の熱き思いを受けて、全国一返り咲きの道を突き進む。