2025年オセアニア選手権は3月20~22日にアメリカンサモア・パゴパゴで行われ、シニア・男子グレコローマン72kg級決勝で、元アジア王者の下山田培(オーストラリア=日体大OB)と男子フリースタイル65kg級でパリ・オリンピックに出場した赤澤岳(サモア=日大OB)が対戦。グレコローマンを“本職”とする下山田が第1ピリオドの2分21秒、11-0のテクニカルスペリオリティで勝ち、国籍を変更して最初の大会を飾った。
下山田は2021年東京オリンピック出場を逃し、同年の世界選手権(ノルウェー)へ出場して、いったん現役を退いた。しかし、オーストラリアで選手生活続行を決意。昨年、国籍変更が認められ、同国の選手として2028年ロサンゼルス・オリンピックを目指す。
赤澤は、昨年のオセアニア選手権でグレコローマン67kg級で優勝し、両スタイルをこなす選手。今大会も67kg級にエントリーしたが、他にエントリーがなかったため、72kg級にエントリーし直して挑んだが、元アジア王者の壁にはね返された。
しかし、男子フリースタイル79kg級に出場し、5選手のリーグ戦をすべてフォールかテクニカルスペリオリティで勝ち、オセアニア選手権で初優勝を飾り、最終日に行われたビーチでも、シニア80kg級でも4連勝して優勝した。
世界レスリング連盟(UWW)のドクターとして参加した中嶋耕平氏(国立スポーツ科学センター)は「日本のレスリングは、オセアニアでは『憧れの存在』と言われました。赤澤選手が育てたサモアの選手もU20、シニアのカテゴリーで優勝し、確実にオセアニアのレスリングの競技力向上に貢献していると思います。アメリカンサモアも、モンゴルからのコーチを招聘し強化に励んでいるようです」と報告した。
(写真、動画は中嶋氏提供)