2025.03.19

【都道府県だより】日下尚、清岡幸大郎(ともに三恵海運)が島根県の離島で指導

お知らせ
本ページは各都道府県協会や地方大会の主催団体から記事・記録・情報を送っていただき、掲載するページです。各地からの情報発信にお役立てください。詳細は《都道府県だより》を参照ください

 

島根県レスリング協会会長 髙村行雄
(隠岐の島町総合体育館 館長)

《写真集》


 3月15~17日、パリ・オリンピック金メダリストの日下尚、清岡幸大郎(ともに三恵海運)の2選手が島根県の隠岐の島(島後・島前)でキッズ選手と高校選手を相手に技術指導を実施しました。

 三恵海運の髙田肇社長が、練習環境に恵まれない離島でのレスリング振興のため所属選手を派遣してくださったものです。両選手は前週も鹿児島県・沖永良部島へ行って地元選手に技術指導を行っています。

▲タックルをていねいに指導した清岡幸大郎選手

 離島の選手がオリンピックの金メダリストに接する機会は、極めて稀なことです。実は昨年も日本代表選手によるレスリング教室を予定しましたが、悪天候で中止となり、1年ごしに実現しました。選手、および保護者は大喜びで、今後に向けてモチベーションが上がったことと思います。

 島根県は今年7月にインターハイがあり(雲南市)、2030年に国民スポーツ大会を控えています(同所)。それに向けて大きな弾みになったと思います。

 2選手は、15日に来島し、その日は島後の隠岐の島町総合体育館で地元のOKI RAINBOW WRESTLING CLUB(桜井正人代表=自衛隊、レスリング班OB)のキッズ選手を相手にした練習会を実施しました。松江工業高校(二俣友明代表=日体大OB)の選手もフェリーで駆けつけ、2日間にわたって金メダリストの指導を受けました。

 ■島根県教育委員会・野津建二教育長の話(松江から島を訪問)「レスリングを一生懸命にやっている子供達が、この島にも大勢います。頑張れ、だけでは、つらいものがあります。オリンピックの金メダリストが激励に来てくださる、一緒に練習してくださることが、大きな力になります。子供達は、この日のことを一生覚えていると思います。本当にありがとうございました」

▲島後での練習会の参加選手と保護者

 清岡選手は、パリ・オリンピック決勝で炸裂したリンクル(変形アンクルホールド)は「10年前に初めて知り、10年かかって世界で通じるようになった」ことを説明。時間をかけて、繰り返し練習することの重要性を伝えていただきました。

 隠岐島後にある隠岐水産高校出身で、1980年モスクワ・オリンピックのグレコローマン48kg級の幻の代表だった佐々木文和氏(日体大OB)も、現住所の松江市から故郷に里帰りし、オリンピック選手の来訪を歓迎しました。日下選手との顔合わせでは、そのうちに技術交換に発展しました。世代を超えても、オリンピック選手同士は相通ずるものがあることを感じさせていただきました。

 ■佐々木文和氏の話「現役オリンピック選手が隠岐の島に来てくれて、一人でも多くのキッズ選手がさらにレスリングを好きになり、オリンピックを目指してくれればうれしいです。高村会長がレスリングの発展のために尽くしてくれています。私がオリンピック代表になれたのは、多くの人からの指導、応援があったからです。当時は選手も多く切磋琢磨があり、それもよかったです。島での競技人口を増やし、発展望みます」

隠岐から金メダリストが出てほしい…隠岐島前高・河内龍馬監督

 両選手はその日のうちにフェリーで島前へ渡り、翌16日は隠岐島ジュニア教室隠岐島前高校(ともに河内龍馬監督=日体大OB)の選手を相手にした指導です。島後の一部のキッズ選手や松江工業高校の選手も参加しました。

 前日は時間の関係でできなかった日下尚選手によるグレコローマンの投げ技の指導もあり、フリースタイルにも使えるいくつかの技を披露。キッズ選手も真剣に取り組みました。

 ■河内龍馬監督の話「島前の幼年から高校生選手が全員集まりました。どの選手にとっても、とてもいい刺激になります。こうした地にオリンピックの金メダリストが来ることは、そうそうありません。感謝の気持ちしかないです。人口6000人の島で、レスリング選手が30人います。この中からオリンピックの金メダリストが出てくれることを祈っています」

▲島前での練習会参加選手と保護者

 離島でのスポーツには、多くの困難が伴います。大会に出場するのに、本土のチームに比べると時間と経費がかかり、宿泊も多く必要となります。簡単に他チームと交流できず、技術をマスターするのも一苦労です。

 そんな地だけに、オリンピック・チャンピオンが来て技術指導をしてくださることは貴重な機会です。ここで学んだことを、ぜひとも今後に役立てていただきたいと思います。

 オリンピック選手を派遣してくださった三恵海運の髙田肇社長と、2選手を連れて訪問してくださった鈴木貫太郎コーチに深く御礼するとともに、期待にこたえたいと思います。