2025.03.17

世界V5のスタンカ・ズラテバが満場一致で選出される…ブルガリア協会に初の女性会長が誕生

 ブルガリアのメディアは、同国レスリング協会が3月11日、バルナで総会を開催し、女子最重級で世界選手権を5度制したスタンカ・ズラテバ氏(42歳)が満場一致で会長にされたことを報じた。同協会で女性会長の誕生は初。

▲伝統あるブルガリア・レスリング協会で女性初の会長となったスタンカ・ズラテバ氏=ロシア・ダゲスタン共和国レスリング協会サイトより

 会長選挙には、2017年から同連盟の会長を務めていたフリスト・マリノフ氏(2010年世界選手権男子グレコローマン84kg級優勝)が留任を目指したほか、ブルガリアのサッカークラブCSKAのオーナーであり、長年にわたって同国のレスリング連盟のスポンサーを務めてきたグリシャ・ガンチェフ氏、1995~97年に会長を務めたディミタル・ジャモフ氏、ズラテバ氏の4人が立候補。

 実業家のガンチェフ氏は多額の資金を協会につぎ込むことを公約としてリードしていたが(同国協会ウェブサイトによると、約3億3000万円)、現場はズラテバを支持。その雰囲気を察し、マリノフ氏とともに立候補を辞退してジャモフ氏を支持したが、同氏も辞退。ズラテバへの信任投票となり、協会に加盟している125クラブのうち、出席した120クラブの代表全員が信任したという。

 ズラテバは女子72kg級(当時の最重量級)で闘っており、浜口京子選手のライバルだった選手。2006年世界選手権で初優勝し、2007・08・10・11年も世界一へ。オリンピックは3度出場し、2008年北京、2012年ロンドンとも銀メダルだった。

▲2012年ロンドン・オリンピック決勝で闘うスタンカ・ズラテバ。オリンピック優勝には縁がなかったが、世界選手権は5度制した=撮影・矢吹建夫

 ブルガリアのレスリングは、オリンピックで金メダル18個を含めて73個のメダルを獲得。ブルガリアを代表するスポーツだった。近年は振るわず、昨年のパリ大会ではロシアとウクライナからの国籍変更選手が24年ぶりに金メダルを取ったが、当初からブルガリア国籍だったオリンピック王者は1996年のバレンチン・ヨルダノフ(男子フリースタイル52kg級)以来、出ていない。

 国籍変更選手に頼らない抜本的な強化が望まれる状況で、多額の資金より現場の支持を集めたズラテバが、同国の改革を実行できるか。