2025.03.15

【特集】「マット菌」対策は万全ですか? マットの清掃・除菌に全力を尽くす株式会社エスエスイー

 通称「マット菌」(正式名称=トリコフィトン・トンズランス菌)との闘いは、レスリング界では古くからあり、現在でも変わらず存在する“闘い”のひとつ。全国の柔道やレスリング選手を中心に感染例が増加した時期もある。

 命にかかわるような怖い病気ではないものの、放置すると、他の選手のみならず友人や家族にも感染する可能性がある。治療しないままに練習や試合に出場している事例も多く報告され、本感染症に対する選手や指導者、保護者の意識の向上が望まれる状況でもある。

▲大会中に何度も清掃しているが、全試合終了後のマット清掃ではご覧の通り。マットには数多くの菌が存在している=2025年関東高校選抜大会

 マット菌の感染経路は、そのほとんどが体の接触が原因だが、畳やマットからの感染、衣類やタオル、寝具類を共有することからの感染もある。

 マットからの感染を防ぐため活躍しているのが、株式会社エスエスイー。ノンアルコール除菌剤「サプレス」が全国の多くのチームや大会で使用されており、マット菌の予防に大きな力を発揮している。

 渡邉伊織代表取締役社長は「(マット菌は)目に見えるものではないので、理解していただくことが難しいのですが…」と話す一方、6つの機関で菌の安全性・信頼性・MIC・各種多くの検査や試験の結果、それぞれに抜群の除菌力を発揮することが証明されており、除菌・抗菌に対して絶対の自信を持てるだけの数値だと言う。

▲全試合終了後、人気のなくなった会場でマット清掃する渡邉伊織代表取締役(手前)と前社長の美知子さん=2025年関東高校選抜大会

単なるアルコール清掃では、除菌・抗菌の役目はこなせない

 レスリング界とのつながりは、会社を立ち上げた同代表取締役の母・美知子さんが、営業の一環として柔道の講道館を訪れたことに始まる。畳の清掃に役立つかもしれないと購買部に置いてもらい、話がつながった。結局、講道館では使ってもらうことはなかったが、日体大レスリング部を紹介してくれ、松本慎吾監督長友寧雄コーチ(当時)と面会。レスリング道場で使ってもらうことになった。

▲レスリング界の除菌・抗菌に貢献する渡邉美知子・前社長

 そのうちに、東京・日大駒場高校の中根和広監督ら日体大OBの高校の監督に広まり、日体大の古里光弘コーチが中心となって運営されている東京都知事杯全国中学選抜選手権で使用。マット菌防止に役立つという評判が広まり、現在では全国で数多くの高校や大会で使用されるようになったと言う。

 販売するだけではなく、大会には2人が運営スタッフ的な立場で参加。2月の関東高校選抜大会(府中市)や新宿キッズトーナメントでも、試合の合間にマット、およびマットへ入るところにある足拭きマットを頻繁に清掃し、マット菌の予防に全力を尽くす姿があった。

 コロナ禍によって、日本全体が除菌・清潔に対する意識が高まったと言われるが、「レスリング界はコロナ前から除菌に対する意識は高かったですね」と言う。大会前のメディカルチェックで皮膚への異状があれば出場できなくなるのだから、当然と言えば当然だが、単なるアルコールで、あるいは水拭きでマットを清掃すればいい、と考えている人も少なくない。汚れは取れるだろうが、除菌・抗菌という役目はこなせない。

 自社製品の「サプレス」を試験機関に調べてもらった結果、除菌や抗菌に大きな力を発揮することが証明され、「自信をもってレスリング界に勧めることができました」と言う。塩素臭などもない無臭で、皮膚への刺激もなく、万が一にも口や目から体内に入っても無害というところが、多くのチームの愛用につながっている。

 使用してくれたチームの監督から「マット菌がなくなりました」という報告も寄せられており、数々の検査結果とともに、自信を持って勧めたいと言う。レスリングだけではなく、一般家庭の除菌・抗菌にも役に立ち、「清潔感を常に保つために役に立てればいいと思います」と話す。

《現在サプレスを使用している主な学校・クラブ・スポーツ施設》
日体大、慶大、神奈川大、日本工大駒場高、自由ヶ丘学園高、東京実業高、日体大桜華高、日体大柏高、磯子工業高、山梨農林高、山梨甲府城西高、山形南高、宮古商工高、鳥栖工業高、水戸四中、大洗南中

各都道府県レスリング協会・高体連レスリング専門部(東京、神奈川、千葉、茨城、静岡、岩手、宮城、福井、岡山、宮崎、佐賀、その他多数)、全国中学生レスリング連盟、東日本学生レスリング連盟、
グロリアレスリングクラブ、ゴールドキッズ、徳山チビッ子クラブ、巻っずクラブ、郡山クラブ、マイスポーツハウス、邑楽Jrクラブ、スカーフィスト青森ジム、田沼アスレチッククラブ

その他
横須賀市総合体育館、介護施設ライフアップまりも、日本マタニティフード協会、
上記以外にも全国の中学・高校・クラブチーム関係多数

▲試合の合間にも除菌・抗菌に力を注ぐ渡邉伊織社長=2025年新宿キッズトーナメント

 マット菌は感染力が強、一度感染すると非常に治りにくい。一人でも感染すれば集団感染につながりかねず、多くの選手が試合に出ることができなくなる。「レスリングをやると、皮膚病にかかるケースが多くなる」という悪評がたってしまっては普及につながらない。チームを運営する代表は、トンズランス菌への意識を高め、予防に万全を尽くさねばなるまい。

 慶大スポーツ医科学研究センターは、安心して競技に打ち込むため、下記の予防策を提言している。

【掃除】髪の毛に付着した菌は半年生存します。毎日、練習場や部屋を掃除機で清掃しましょう。

【消毒】練習場や練習器具は、毎日、消毒液を噴霧(スプレーや噴霧器を使用)して消毒しましょう

【シャワー】練習・試合の直後になるべく早く身体と頭髪を洗浄しましょう。3日に1回は抗真菌剤入りのシャンプーを使用してください。洗髪後はドライヤーでしっかりと乾かします(真菌は湿気を好みます) すぐにシャワーができない時は、消毒液を吹きかけたタオルで身体を拭きましょう。