南九州大レスリング部部長・西村盛正
昨年のパリ・オリンピックで2人の金メダリストを輩出した三恵海運の高田肇社長から金メダリストの日下尚選手と清岡幸大郎選手を宮崎県都城市にある南九州大へ派遣していただき、3月10日、当地の大学選手、高校選手、キッズ選手を相手にレスリング教室を開催することができました。
参加選手には「SAN-E」の文字の入ったTシャツが贈られ、全選手がそのTシャツを着て約2時間、金メダリストの指導を受けました。
都城市は、キッズクラブ(Wellness Kids 都城レスリングクラブ)のほか、都城西高、都城東高、南九州大にレスリング部があり、高校と大学はほぼ毎日合同で練習。週1回はキッズクラブを含めて全世代での練習をやっています。全世代の選手が集まって練習する地域は、全国でも珍しいのではないでしょうか。
一貫強化の成果は、2023年のU17世界選手権で前原晟人(都城西高=現山梨学院大)が優勝、昨年のU17世界選手権で小此木仁之祐(都城東高1年)が3位に入賞するなど国際大会でも出ています。今回、2人のオリンピック選手が来てくれたことで、選手のモチベーションがさらに上がったことと思います。
キッズ選手は、都城市だけで60人を超える選手がいます。宮崎県全体だと100人は超えると思います。大きな目標ができ、希望が沸いたことと思います。高校選手数は、47都道府県の中で一番多い県です。昨年4月に創部された都城東高校レスリング部には、山梨学院大~自衛隊で活躍した鴨居正和と至学館大~ジェイテクトで活躍した松雪成葉の2人が指導者として携わっています。素晴らしい指導陣の中で、さらなる結果を出せる日が必ず来ると思います。
大学選手には、技のかけ方がとてもためになったと思います。私の学生時代は、オリンピック・チャンピオンから親身に指導してもらう機会はそうそうなく、技を学ぶチャンスはなかったと言ってよかったです。
今回、都城の地へ日下尚、清岡幸大郎の両選手を派遣していただいた三恵海運の高田肇社長に深く感謝するとともに、結果を出すことで恩返しさせていただこうと思います。宮崎県のレスリングが伸びるのはこれからです。ありがとうございました。
■南九州大・竹田展大監督の話「こうした貴重な体験が都城にいてできることは、非常にありがたいことです。高校生も大学生も、少しずつ実績を残しているのが現在の宮崎県のレスリングです。オリンピック選手のレベルを実際に体感できたことが、どの選手にとっても収穫だと思います。4月からは高校と大学に強豪選手が入ってくる予定です。都城から(シニアの)国際舞台に出る選手を育てたいと思います」
■清岡幸大郎とスパーリングした小此木仁之祐の話「力強くて、技の精度が高く、とても強かったです。アンクルホールドの打ち込みでは、どんなやってもかからなかったし、(受けのときは)あっという間に回されてしまいました。極めの早さがすごかったです。でも、2年後(高校3年生)には勝つつもりでいます。そのために、足りない部分を補うのに必要な練習をしっかり積みたいと思います。直近の目標は3月末の全国高校選抜大会での優勝です」