2025.03.02

オリンピアンの講演、SNSに関する講習、ハラスメント防止などの研修会を実施…東日本学生連盟

 東日本学生レスリング連盟は3月1日、各大学の主将、学連委員を集めて東農大で研修会を開催。オリンピアンの講演、SNSに関する講習、ハラスメント防止、大会運営の改善案と大学レスリングのメジャー化へ向けたディスカッションなどを行った。

 かなり以前には、実技講習を含めて泊まりがけの研修を実施しており、コロナ禍前には主将だけ集めてのNTS中央研修会はやっていたそうだが、全大学から主将と学連委員を集めての研修会は初。座学に絞っての研修会も初めてとのこと。

▲高谷大地選手の講演でスタート

 研修会のスタートは、昨年のパリ・オリンピック・男子フリースタイル74kg級銀メダルの高谷大地選手(自衛隊)の「五輪メダリストを目指してきて」の講演。オリンピックのことも知らず、「6年間で1勝できたか、どうかだった」という小学生時代から、2004年アテネ・オリンピックで同郷(京都・網野町)の井上謙二・現日本協会強化委員長が出場して熱心に応援していたが、「自分がテレビの向こうに行くとは思わなかった」こと、2012年ロンドン・オッリンピックに兄(高谷惣亮=現拓大監督)が出て、やっと「目指す場所かな」と思ったことなどを振り返った。

 ここまでの選手生活を振り返って強く感じることは、「自分で考え、自分で決めることの大切さ」。負けたことをコーチや審判のせいにするなど、うまくいかなかったことを人のせいにする生き方では「一生ダメな生き方を続けることになる」と言う。「自分の人生は、自分で決めることが大事」と強調した。

 学生相手の講演ということで、拓大時代の思い出も披露。恩師から最も厳しく言われたのが「後輩への態度」だったと言う。「後輩を高圧的に支配すると、いつか痛い目に遭う。両者の成長にならない」と言われ続けたそうだ。

 兄がポジティブ(肯定的)な性格なのに対し、自分はネガティブ(否定的)な面が強く、それが悩みだったそうだが、自衛隊のトレーナーから「ネガティブで何が悪いの? それもあなた自身でしょ」と言われ、ありのままの自分を受け入れることを決意。モチベーションも「低いときがあってもいい。低いときがあるから、高いときがある」と考えるなど、吹っ切れたことも披露した。

▲拓大時代は「後輩を高圧的に支配するな」と厳しく言われ続けていたと振り返った

「学連委員は、プライドを持ってやってほしい」…吉本収会長

 パリ・オリンピックの前は“SNS断ち”したことも話した。100人の応援があっても、1人の中傷があると心に影響が出てくるための対策。もちろん今は解禁しており、学生に「どんどん発信し、レスリングの会場に友人・知人を多く来場させてほしい。これからのレスリング界を作るのは皆さんの力です」とエールを送った。

 そのSNSに関する「メリットとリスク」の講習は、元NHKのアナウンサーで現在はフリー、コミュニケーションコンサルタントの三須亜希子さんが実施。現実にあったスポーツ選手のSNS被害の実例を挙げて注意を喚起。

▲元NHKアナウンサーの三須亜希子さんによるSNS講習

 部活におけるハラスメントを含めたコンプライアンスは、特定社会保険労務士の曽根田明弘・連盟理事長が担当し、「たった一人のハラスメントで、部全体が活動できなくなることもある」と、指導とパワハラの違いなど正しい知識を身につけることを訴えた。

 吉本収会長は「実技は各所属でしっかりやっているので、それ以外の部分をやる必要があった。各大学でもですが、連盟としても、コンプライアンス(法令・規則・倫理遵守)の指導をしなければならない」と言う。

 自身は、連盟の歴史と組織についてを講演し、学連委員がいるから大会運営が成り立っていることを説明。「学連委員は、プライドを持ってやってほしい」と強調。ともすると、けがで選手生活が難しくなった選手などに押しつける風潮があるが、「払拭したい。しっかりした選手を学連委員に選んでほしい」と訴えた。

 来年以降も続けたい意向で、「会場を無償で貸してくれる東農大に感謝します」と話した。

▲最後はいくつかのグループに分かれてディスカッション。出た結論を発表した

▲全日本選抜王者・U23世界王者の髙橋海大(日体大=左から3人目)も、この日は座学で奮戦

▲積極的な活動を牽引する東日本学生連盟の吉本収会長

▲終了後、全員で記念撮影