2025.02.06

【2024年度関東高校選抜大会・特集】東京デフリンピック大会のリハーサル大会を終えて…岩崎太郎・大会競技委員長に聞く

 2月1~2日に東京・府中市郷土の森総合体育館で行われた2024年度関東高校選抜大会は、今年11月に同会場で行われるデフリンピック・レスリング競技の準備を兼ねた大会。高校の地方大会としては全国で初めてと思われるマットステージが設置される中、いくつかのテストが行われた。

 大会の準備から当日の運営にいたるまで奔走した東京都高体連レスリング専門部の岩崎太郎専門委員長(大会競技委員長=中央学院大学中央高教)に、大会運営について聞いた。

▲通常とは違う関東高校選抜大会の運営に奔走した岩崎太郎・大会競技委員長


--大会を振り返っての感想をお願いします。

岩崎 通常の関東高校大会の運営は慣れていますので、そのことについては、いつも通りでした。今回はデフリンピックのプレ大会という位置づけですので、高体連だけではなく、デフリンピックの準備運営委員会がかかわっての大会でした。打ち合わせを重ね、デフリンピックを想定した大会となりました。

 正直なところ、私はデフリンピックの存在を知らなかったです。われわれ教員や顧問、関係者にデフリンピックの存在と、日本で行われることを知ってもらうきっかけになったと思います。こうした大会に関与できるということは、レスリング界にとっても、高校のクラブ関係者にとっても、よかったと思います。

--デフリンピックの会場とまったく同じレイアウトで実施したのですか?

岩崎 デフリンピックは2面マットでの開催です。関東高校の大会は4面マットでないとできないので、デフリンピック準備運営委員会に無理を言って協力していただきました。選手にとっては、ブロック大会でこうしたすばらしい会場で試合ができたことは、いい思い出になったと思います。

 普通と違う運営になったので準備は大変でしたが、選手にプラスになったことを考えると、今は達成感でいっぱいです。

▲地方の高校大会としては初と思われるマットステージを設置しての大会

--これまでの関東大会で、マットステージでの大会はありましたでしょうか?

岩崎 私は経験ないです。関東大会ではないでしょう。全国でも初めてだと思います。経費を支出してくれたデフリンピック準備運営委員会に感謝したいです。

やってみて想定していないことが見えてくる

--デフリンピックのレスリング競技も、東京都高体連レスリング専門部や東京都協会がかかわるのでしょうか?

岩崎 現時点では、はっきり決まっていません。これも何かの縁なので、協力要請があれば、専門部としては人の派遣など全面的に協力していくつもりです。

--最終日に設置された大型スクリーンも、デフリンピックを想定したものですね?

岩崎 そうです。選手には場内アナウンスが聞こえないので、アナウンスを文字にして映し出して伝えるわけです。

▲デフリンピックを想定して設置された大型スクリーン。「遠くからよく見えない」「誤変換」という課題が見つかった

--遠くからは、よく見えなかったですね。

岩崎 文字の誤変換もありました。「賞状」が「症状」となるなど。ただ、やってみたことで、想定していないことが見えてくるわけで、テスト大会の価値がありました。本大会までに修正し、いい大会ができると思います。

--女子生徒が場内アナウンスをやっていましたね。

岩崎 これまでの大会運営はすべて教員がやっており、場内アナウンスもそうでした。昨年6月に山梨で行われた関東高校大会で、地元高校の女子生徒が司会進行のアナウンスをやっていて、とてもいいと感じました。

 今大会でも実施したいと思い、東京都高体連の専門部で相談してみたところ、安部学院高校の齋藤ほのか監督から「高校の朗読部の生徒を出せる」との申し出があり、3人をお願いしました。3人ともこうした大舞台でのアナウンスは初めてで、緊張してミスもあったようですが、経験することでスキルが上がったと思います。

 何よりも、レスリングを知らなかった人に、レスリングを知ってもらうことができたのはよかったと思います。自分のお気に入りの選手を見つけ、アナウンス室で「勝った!」と応援していました。たった3人ですけど、レスリングのファンを増やせたことはよかったと思っています。こうしたことの積み重ねで、レスリングの支援者・理解者を増やしていきたい。

▲場内アナウンスを担当した安部学院高・朗読部の皆さん。左端が齋藤ほのか監督