2025年全日本マスターズ選手権で、「10回出場」と「古希表彰」のW受賞を受けたDivisionG-70kg級の竹中伸行さん(大阪竹中道場)は、健闘むなしく初戦敗退。コロナによる中止をはさんでの4大会連続優勝はならなかった。
もっとも、本来58kg級の選手。同級には竹中さん以外のエントリーがなかった。大会要項に「1名のみエントリーの階級は実施しない。その場合、該当者には事前連絡の上、階級変更を要請することがある」との条項があり、階級変更を打診された。1階級上の62kg級にもエントリーがなかったため、出場するなら70kg級。
ためらいはあったが、10回出場は「区切りの目標というか、目安として考えていました。ただでさえコロナで2年遅れてしまっていますから」とのことで、この階級での出場を決めた。連盟からは「計量をパスすれば出場」との連絡をもらったので、試合はしなくとも10回出場は達成できたが、東京まで行って闘わず、それで表彰を受けるわけにはいかなかった。
実際に闘ってみて、「2階級上はきつかったですね」と話す。ひざを痛めていたり、痛風に悩まされていることもあって「コンディションはよくなかった」という理由もあるが、やはり体格の差は大きかった。
古希(満69歳)になった現在もクラブのキッズ選手を相手に、指導しつつ練習を続けている。竹中道場は大阪市都島区の、大阪城もランニング圏内にあるJR環状線の内側の恵まれた立地にある。 年創立の老舗の道場で、10人のキッズ選手が通うほか、MMA(総合格闘技)の選手にも道場を開放している。「最近は日本トップレベルだった人がキッズも教えている。高校や大学と変わらない技術指導をしていますね」と、キッズ・レスリングのレベルアップを肌で感じている指導者だ。
そんな中でも教室を続け、70歳になっても試合にも出る理由を聞いてみると、「(レスリングが)日課というか…。生活の一部ですね」と言う。孫もレスリングをやっているので、「おじいちゃんも負けられません」と笑い、「足が動く限りは続けます」と言う。来年の25回記念大会への出場も宣言。今度は58kg級で試合をしたいだろうから、同志(出場選手)を求めたいところだ。