神奈川県レスリング協会
競技力向上推進委員会 菅原和哉
2019年を最後に開催されていなかった「第29回齋藤つよし杯 関東高校レスリング大会」が1月12日(日)、磯子工業高校体育館で5年ぶりに開催され、関東各都県から高校生の混成代表チームが集結しました。この大会は、1998年「かながわ・ゆめ国体」の強化事業で立ち上げた団体リーグ戦で、キャッチフレーズは「最強の練習試合」。今回は関東都県に限定し、競技方法を変更しました。
Aリーグは1都5県の選抜チームによる男女混合総当たりリーグ戦、Bリーグは高校入学後にレスリングを始めた初心者と新人大会下位の選手中心とした5チームによるリーグ戦です
Aリーグは
・男女混合、全15階級。各階級2名のエントリーまでOK。成立するなら補員の試合も行う
・試合順は女子→男子で重量級から始める
・不戦勝・不戦敗はなし。成立した試合のみの総得点成立した試合の総得点で決める(フォールは12-0)により、団体の勝敗を決定する(勝ち数ではなくポイント合計の多寡でチームの勝敗を決定=格上の選手が相手でも最少失点で抑える、テクニカルスペリオリティ勝ちより、12点となるフォールを狙いに行く、という試合展開を期待してのルール)。
・空き階級がある場合のみ、双方の合意の上で、1階級上(下)の出場を認める。2階級は不可。
Bリーグは男子5チームによるリーグ戦です。ABリーグに分けた理由は、キッズ時代からレスリングに取り組んでいた選手と、高校入学後にレスリングを始めた選手では、実力差がありすぎるためです。キャリアと実力に合わせた試合を組むことで、初心者にも勝利を目指す気持ちを持ってもらい、今後の実力アップへつなげてほしいからです。
キッズの選手数に比べて中学生および高校生の選手数が少ないのは、レスリング部のある学校が少ないという理由ばかりではないと考えます。キッズ・レスリング経験者と中学や高校入学後に始めた選手とでは実力差が大きく、練習でも試合でも勝てないのが現実。それが、中学や高校入学後に取り組む選手の減少につながっている一因であると思います。
同程度の選手との練習や試合の中で実力をつけさせ、勝つ喜びを経験させることでモチベーションをつくり、上を目指してレスリングに打ち込んでもらいたいと思います。神奈川県では、数年前から初心者だけの合同練習を実施し、高校入学後にレスリングを始めた選手をしっかりと育てる試みを行っています。
Aリーグを学校対抗ではなく、男女混合の都道府県対抗にしたのは、将来、インターハイでもこの方式を取り入れる可能性を視野に入れてのことです。中学校の部活動がクラブ活動へ移行していますが、何年後かは分かりませんが、高校もそうなる可能性があります。
その場合、学校対抗ではなく、クラブ対抗、あるいは都道府県対抗が団体戦となります。国際オリンピック委員会(IOC)の理念のひとつである男女平等の精神にのっとり、男女混合の対抗戦が当然という時代も予想されます。実際にやってみて、男女が交互に試合をすることの面白さ、盛り上がりを感じました。
長年続いてきた方式を変えるには、何らかのテストケースが必要でしょう。神奈川県の試みが、その一助となってほしいという思いを込め、男女混合の都県対抗戦を実施しました。
結果は、Aリーグは東京A2(文化学園大杉並高を中心としたチーム)が優勝し、2位に花咲徳栄(埼玉県は1校のみの参加)、3位に東京A1(自由ヶ丘学園高を中心としたチーム)が入りました。Bリーグは神奈川Bが勝ち、混成いろはが2位、千葉Bが3位となりました。
13日(祝)には参加チームの選手と幼年~中学生のジュニア選手、約160名による合同練習会が行われました。充実した強化事業を行うことができました。