東京スポーツ新聞社制定の「2024プロレス大賞 supportted by にしたんクリニック」の授賞式が1月8日、都内のグランドホテル高輪で行われ、パリ・オリンピック優勝の8選手がレスリング特別表彰を受賞。4選手(清岡幸大郎、藤波朱理、櫻井つぐみ、鏡優翔)が出席し、2024年のプロレス界を賑わせたスター選手とともに表彰され、記念品を受け取った。新型コロナウィルスの感染拡大のため、授賞式が行われるのは5年ぶり。
昨年秋に公開され、話題となった全日本女子プロレスの隆盛を描いたNetfrix(ネットフリックス)のドラマ「極悪女王」のことはレスリング女子選手の間でも有名。その主役でもあるダンプ松本やブル中野との対面では、どの選手も当初はやや緊張気味。藤波朱理(日体大)がダンプ松本に竹刀で首を絞められた(?)が、「イメージと全然違って、優しい方でした。すごく感動しました」と話すなど、道は違ってもトップに立った人間から新たなエネルギーをもらった様子。
藤波は、これまでに何度も「血縁関係は?」と聞かれていた藤波辰爾とも対面。「ずっとお会いしてみたかった。お会いできてうれしかった。『頑張って』と声をかけていただきました」と興奮の面持ちだった。
男子で唯一出席した清岡幸大郎(三恵海運)は、日体大同期の小幡詩音が昨年4月から新日本プロレスに職員として入社し、世界への飛躍を目指しているので、プロレスは身近な世界。ヘビー級が主流のプロレス入りは考えていないようで、「(金メダルは)一つでは物足りないので、ロスで二つ目を取れるように頑張りたい」と話した。
プロレスラーで受賞した選手のうち、ベストバスト賞受賞の後藤洋央紀(国士舘大OB)は、三重・桑名工高時代、県の合宿などで同県の高校で監督を務めていた藤波俊一コーチ(藤波朱理の父)の指導を受けている。殊勲賞受賞で人気が急上昇している安齊勇馬(中大OB)と、けた外れのパワーで成長を遂げている新人賞受賞のオレッグ・ボルチン(山梨学院大OB)は、つい最近まで学生レスリングの本拠地とも言える駒沢体育館で汗を流した選手。
新日本プロレスの社長(兼選手)として出席していた棚橋弘至は立命館大OB。いずれも日本レスリングの躍進はうれしそう。レスリング選手を激励しつつも、プロレスへのスカウトにちょっぴり色気を見せていたが…。
オリンピックのあと、藤波は11月に開催された女子大学リーグ戦に出場している。全日本レベルの大会としては今年4月に予定されているジュニアクイーンズカップU23への出場の意思を示した。清岡は昨年秋にドイツのブンデスリーガで闘っている。国内では6月の明治杯全日本選抜選手権を今年の初戦と考えており、鏡は12月の天皇杯全日本選手権が復帰戦の予定。櫻井は「未定」とのこと。
■男子フリースタイル65kg級・清岡幸大郎(三恵海運)「同期に新日本プロレス所属のアマチュアレスリング選手、小畑詩音がいて、プロレスは身近に感じています。それだけに、この賞をいただけたことに感激しています。オリンピックで活躍することが夢で、実際に達成したのですが、一つでは物足りないので、ロサンゼルスで二つ目を取れるように頑張りたいと思います」
■女子53kg級・藤波朱理(日体大)「プロレスを生で見たことはないのですが、ネットフリックスで『極悪女王』を見て感動しました。ただ、竹刀やフォークは怖いので、これからもレスリングで頑張りたいと思います」
■女子57kg級・櫻井つぐみ(育英大助手)「オリンピックで勝つことは小さい頃からの夢でしたので、すごく幸せでした。プロレスを生で見たことはないのですが、(この賞を機に)これからは興味を持って見てみようかな、と思います」
■女子76kg級・鏡優翔(サントリー)「この賞は、憧れの先輩達が受賞されていました。まさか自分がこの場に立てるとは思っていなかったので、とてもうれしく思います。プロレスは、練習していた高校の先輩でプロレスへ進んだ選手がいるので何度か見ています。怖いと思っていたのですが、今日はすごく楽しかったです。竹刀(ではたかれることには)抵抗ありますけど(笑)」
■欠席者の代理として記念品などを受け取った日本協会・富山英明会長「金8個も取ったのは(日本レスリング史上)初めて。目標は6個と言っていて、本心は4つか5つ取れれば、と思っていた。東京スポーツ新聞社の支援に心から感謝したい。オリンピックでは、どの選手も観客を味方につけて勝利につなげられたと思う。プロレスは観客を沸かせることが大事だが、レスリングも同じ。最後の試合となった鏡選手などは、入場のときに観客に手を振って会場を盛り上げ、観客の魂が(鏡に)乗り移っていた。2028年のロサンゼルス・オリンピックでは、世界中が日本を目標にして来ると思う。厳しい闘いになるが、また金メダル8個を目指して頑張りたい」