2024.12.27

【2024年全日本選手権・特集】健闘選手の声

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 

(2024年12月19~22日、東京・代々木競技場第2体育館)


 ■女子55㎏級2位・内田颯夏(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高=決勝では残り時間11秒から反撃され、3秒で逆転される)「相手の方が前に出る気持ちが強く、そこにちょっと怖気づいてしまい、最後、下がってしまってポイントを取られてしまいました。自分のよくないところが出て、負けにつながってしまった。(2023年世界チャンピオンである)村山選手との対戦は今回が初めてでした。最後まで自分より一枚上手だったなって思うし、強いなと思いました。自分からタックルに入ってポイントを取れなかった。

 来年6月の明治杯までに、そういう攻めや、最後に勝っているシーンでどういうふうに自分の気持ちを持っていき、どういう動きをするべきなのかをもっと練習していきたい。(今後の階級については)周囲と相談しないと分からないですけど、自分としては、全日本選手権で優勝するまで55㎏級でやっていきたい」


 ■男子グレコローマン67kg級2位・田南部魁星(日体大=前日のフリースタイル65kg級優勝に続いてメダルを獲得)「両スタイルのチャンピオンが50年、出ていないということで、自分がそれをやりたかった。決勝の相手(遠藤功章)が、いつもよくしてくれる先輩だったので、自分の力をすべて出せればいいかな、とも思っていました。偉業を達成したかったけれど、両スタイルで決勝に出たのも、50年ぶりじゃないですか? またチャンスがあれば、狙ってみたい。

 フリースタイルが本職で、グレコローマンは周りの人が見ていて、面白い、と言ってくれるような試合ができればいいと思った。減量もなく、思い切って楽しくやりました。2日連続の試合は、ものすごくきつかったのですけど、ホイッスルが鳴れば臨戦態勢という体を何十年もつくってきたので、動くことができたと思います。(試合日が離れるより)2日連続だったからこそ、気持ちを切らさずにでき、2位になった面はあると思います」


 ■男子グレコローマン97kg級・天野雅之(学校法人中央大学職員=歴代3位タイとなる18度目の出場も5位入賞を逃す)「体力がないというか、自分の技術を出す力が残らないくらい(相手は)研究して攻めてきていることを感じた。体力は全盛期の半分くらいしかないかな。それを乗り越えようという気持ちがあるからマットに上がっている。今日もいろんな人が応援に来てくれた。元気をもらって帰る、と言ってもらえれば、自分なりの伝え方ができる。金メダリストでもオリンピアンでもないけど、凡人のボクでも何かを示せることが、ここまでつながっていると思います。

 (18度目の出場は)続けていれば、知らないうちについてくるもの。ただ、自分だけの力ではなく、練習相手だったり、支えてくれる職場や家族だったり、多くの人の支えがなければできないこと。そうした人たちに感謝しながら、今後も頑張りたい。(5位を外れて来年の出場枠を取れなかったが)全日本選抜選手権には出られるし、社会人の大会もあるので、できることは最大限にやりたい。オリンピックや世界のメダルに手が届かなかった分、自分のやってきたものをそうした形で残したい思いはある」


 ■男子フリースタイル65kg級2位・荻野海志(山梨学院大=リーグ戦で勝ってチームの優勝を決めた田南部魁星に0-2で敗れる)「自分が弱かったです。それだけです。(U23世界選手権や全日本大学選手権の勢いを持ち込めなかったが)…。弱かったです。弱かったからです。もっと強くなります」


 ■男子フリースタイル86kg級3位・高谷惣亮(拓大職=本来の階級、スタイルに戻しての参戦も準決勝で敗れ3位)「(大会前の)体重は90.6kg。大学で事務作業の仕事をやっていて(忙しく)、体重が増えてしまったようなので、少し減量しました。86kg級はレベルの高い階級。自分が出場することで他の選手の刺激になればいいかな、と思います。白井(達也)選手に負けまして、負けた側が言うことではないのですが、ボクからテクニカルポイントを取れなかったのが彼の課題なのではないかな、と思います。オリンピックを目指すのなら、もっと勇気をもって取りに来てもいいと思います。

 (弟の大地がセコンドについてくれ)一心同体なので、どうしたらいいか迷ったときに声が聞こえて、新鮮な気持ちで試合ができました。今後の目標として、アジア大会に出場したことがないので、(2026年名古屋大会を)目標にしたい。来年のこの大会が選考会になる。今回が試運転で、来年は本気になって取りにいきます。拓大の監督として、拓大のイメージアップにつながる活動と選手が勝てる環境をつくりたい」


 ■男子フリースタイル86kg級2位・髙橋夢大(三恵海運=1点差ながら、またしても白井達也の壁を超えられず優勝を逃す)「グラウンド技術は自分の方が(白井より)あると思うので、ひとつテークダウンを取れれば勝つ可能性が高まるけど、毎回、自分のアタックをさせないように間合いを詰められてしまう。いつも同じような結果になって情けないです。日本で勝てなければ代表になれない。石黒さん(隼士=パリオリンピック代表)が出場していない中で勝てないとなると、先は絶対に見えてこない。まず日本で勝てる力をつけたい」


 ■男子フリースタイル92㎏級2位・掛川零恩(早大=前日の男子グレコローマン82㎏級で銅メダルを獲得したのに続いて銀メダルを獲得)「自分はグレコローマンを本職としてやってるので、昨日の試合(グレコ)が終わった時点で、モチベーションを保つのが難しかった。でも、気持ちを強く持って両スタイルのメダル獲得までたどり着けたのでよかったと思います。(なぜ二刀流に挑戦しているのか?)グレコローマンの技をフリースタイルで活かすことで、フリースタイルでもポイントを取れることが分かり、他の選手にはない自分のスタイルで面白い試合ができるんじゃないかなと思ったからです。

 去年の天皇杯に両スタイルに出場したのが始まりでした。フリースタイルはノーストレスでできるので、とにかく楽しい。本職ではないので負けても大丈夫だし、勝ったらもうけもの、みたいな気持ちで挑めるからです。(二刀流で出場した)大会が終わるたびに、『もう二度とやるものか』という気持ちになる一方で、こうやって結果が出ると『次もやってみようか』という気持ちにもなる。(だったら来年も?)はい。頑張ってみようと思います」


 ■男子フリースタイル125㎏級3位・藤田宝星(埼玉・花咲徳栄高=二度目の全日本選手権で3位入賞)「(3位決定戦を争った)山田康瑛選手とはかなり体格差があった。自分からタックルに行かないと負けると思ったので、片足を取りに行きました。このところ、よく日大で練習しているのですが、自分より大きな相手とやるようにしていた。ちょっとだけ不安はあったけど、この階級での自分の持ち味は足を動かせること。今日は、それができたことが大きかった。

 (国内と海外の最重量級の違いについて)日本でも、ちょっと体格差があるだけで厳しい闘いになる。足を動かすことを意識して、動きを早くして、海外の選手にもついていけるような練習をしていきたい。(いま高校3年生で)卒業後は日大に進学するつもりです。目標とする選手は吉田アラシ選手。日大での出げいこではいつもボコボコにされているけど、そのおかげで強くなっていると思う。吉田先輩と一緒に、ロサンゼルス・オリンピックを目指したい」