※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(2024年12月19~22日、東京・代々木競技場第2体育館)
■50kg級・吉元玲美那(KeePer技研=4大会連続の決勝での対戦となった伊藤海に競り勝つ)「勝てたけど、最後、崩していける展開にしないと海外では通じない。動きが悪かったのでこう(僅差勝利)なってしまった。来年の明治杯も優勝して世界選手権に行くためにも、この半年間、頑張っていきたい。今日は(埼玉栄高校の後輩の)元木(咲良)選手に声をかけられて、元気をもらいました。
1年間、須﨑(優衣)さんの試合を見てきて、悔しかったことを忘れず、次は絶対に自分が(世界に)出るんだと思って頑張っていきたい。年齢のこともありますが、(金城)梨紗子さんも世界選手権で優勝したりもしてる。どんな試合でも勝つことが大事。今回は少しは自分を褒めて、内容としては少しでも次に生かしていきたい。(目指すのは)ロサンゼルス・オリンピックが最後と決めている。レスリング人生をかけて目の前の一戦一戦を大事に勝っていきたい」
■53kg級・清岡もえ(育英大=世界選手権を制した55kg級から、オリンピック階級へ移して日本一へ)「当初は今回も55㎏級で出ようと思っていました。先生(柳川美麿監督)と相談し、55㎏級では世界選手権で金メダルを取ることができたので、これからオリンピックに向けてやっていくってことを考え、減量のこともあるので、その階級に慣れていくことが大事と思いました。それで、53㎏級で優勝するということを目標にやってました。
(55㎏級との違いについて)体の大きさ的には、2㎏しか違いはないんですけど、(相手が)少し小柄で逆にやりにくかったりする一方で、スピードは速いというふうに感じました。今日の自分のパフォーマンスは、少し体重を落としたこともあって、逆に動きが軽くなり、その分スピードが速くなった感じがします。自分のいいところはタックルスピードが速いところ。減量したことで、その部分はさらに強化できたと思います。これからロサンゼルス・オリンピックまで53㎏級に専念します」
■55kg級・村山春菜(自衛隊=新進気鋭の高校選手相手にラスト11秒からの攻撃で逆転勝ち)「すごく、うれしいです。(ラスト11秒からの逆転は)1点じゃダメ、テークダウンを取らないとならないケースでしたけど、とにかく1点という思いで前に出ました。(相手が)踏ん張っていることを感じたので、崩すことを考えて攻撃しました。自分が高校生のとき、(自分の)勢いというものを感じながら試合をしてきました。相手も今、そうなんだと思います。相手の好きなことをさせないことを考え、自分の組み手を生かして自分のペースで攻めることを感じていました。
ここ数年は、負けても仕方ない、という弱気な気持ちも出てきました。勝つためのレスリングができていなかった。勝つためには、きれいないい技で勝とう、といったきれいごとではなく、何が何でもポイント取る気持ちが大事。それが最後に出たのかな、と思います。自分のよさを出して、勝ちにこだわることを極めたい」
■57kg級・屶網さら(KeePer技研=59kg級での2度の優勝に続き、3年ぶりの日本一)「(決勝は)こちらから攻める、というよりカウンターでいく感じでした。手の内を分かっている相手(新井一花=育英大)だったのですが、第1ピリオドの終わりに投げられかけた時は危なかったです。妹(瑠夏)が今年の明治杯で勝ち(57kg級)、オリンピック階級では先に優勝していました。その時、自分はけが(右足靭帯損傷)で出られなくて悔しかったので、今大会は絶対に取ってやると思っていました。妹と練習すると、ケンカになってしまうんですよ。でもそれがよかったのかな。
準決勝の南條(早映)さんは、小学校から大学(至学館大)までずっと一緒にやってきましたが、一度も(試合で)勝ったことがなくて、やっと勝ててうれしかったです。57kg級は来年から藤波(朱理)さんも入ってくるので、対策も練りたいです」
■59kg級・尾西桜(日体大=永本聖奈に一時はリードされながら、逆転のフォール勝ちで初優勝)「本当にうれしいです。明治杯は初めての全日本レベルの大会で、周りからもノーマークで、楽しんでできました。今回は、明治杯のチャンピオンとしてシードもいただき、正直言ってプレッシャーがありました。それを周りの方々が支えてくださり感謝の気持ちでいっぱいです。(対戦相手から)確実に対策されていると感じました。決勝の第1ピリオド、リードされて帰ってきたとき、どうしよう、と思いました。でも練習でやってることを本能のまま出せたと思います。
国民スポーツ大会と女子大学リーグ戦は上の階級で闘い、負けましたが、攻めの姿勢が自分の強みだと思い、それをやり通すことを貫きました。藤波朱理さんが観客席から見てくれ、本当に力になりました。この大会でも、田南部(力)コーチとともにつきっきりでサポートしてくれました。朱理さんがいなければ明治杯も今回も優勝できなかったと思います。朱理さんと一緒にロサンゼルスに行きたい」
■62㎏級・尾﨑野乃香(慶応大=62㎏級に戻して2年連続、通算4度目の優勝)「パリ・オリンピックが終わってから2ヶ月ほど休みましたけど、そこでゆっくり考える時期があり、今後の階級のことを考えました。体重がピークからどんどん落ちていっているということもあり、今回は62㎏級で挑戦するのがふさわしいと思い、この階級での出場を決めました。
4年後も62㎏級でやるかどうかは、まだ考えていないです。今大会は結構強い選手が固まったブロックだったので、準決勝までが山と思っていました。決勝は高校生(竹元柴凛=京都・丹後緑風高)ということで、ガッツだったり、上の人を食ってやるという思いは伝わってきました。自分も高校生の時はそんなふうに思っていたので…。その思いに負けないように頑張ろうと思いました」
■女子65kg級・森川美和(ALSOK=世界3位の実力を発揮して優勝)「テクニカルスペリオリティで勝つことを考えていましたけど、全体的に試合内容はよくなかった。課題が見つかった大会でした。(他の選手との)実力差はあるかな、と思っていましたが、気持ちの部分があるかもしれません。相手も対策をしてくるので、闘い方をしっかり修正しないとならないと思いました。
この階級ではもっと圧勝しないとオリンピックには行けないと思います。3度目(のオリンピック挑戦)もダメにならないようにしたい。一番の目標はロサンゼルスで金を取ること。そのことを毎日思っていなければならないと思います。そのために毎日練習している。もっとやらないとならない。65kg級でしっかり勝って、圧勝して、オリンピック予選が始まる頃に階級を上げると思います」
■68㎏級・石井亜海(育英大=失点0の全試合テクニカルスペリオリティで完全優勝)「昨年の天皇杯は(尾﨑野乃香相手に)初戦敗退だったので、マジでトラウマとして残っています。パリも68㎏級は全然見ていません。大学の先輩や自分と離れた階級の試合はちょっとは見ていましたけど。(去年に比べたら今年の天皇杯は)選手層が厚くなかったといったら失礼になるけど、特別に強豪が集まったわけではなかった。今回は一番の課題として『私が私を超える』をテーマに挑みました。
(今大会で尾﨑が階級を62㎏級に戻したことについて)68㎏級で続ける感じはしなかった。野乃香は62㎏級に未練があるんだろうなと思います。(来年卒業後の進路を聞かれ)練習環境は今のままで、クリナップにお世話になる予定です。パリ・オリンピックは予選落ちしてしまったので、ロサンゼルスに出場をして金メダルを取ることをゴールにしています」
■72kg級・古市雅子(自衛隊=世界一になった階級に戻して4年ぶり2度目の優勝)「優勝できてホッとしています。(72kg級の日本一に戻って)68kg級も72kg級も自分で決めた階級で、どちらに出ても自分次第。72kg級は闘いやすい、ということはないです。今日は練習してきたことを出せなかった部分もありますが、出せた部分もあったので、よかったと思います。まだ4年後は意識はしていません。出る大会ごとに目標を立ててやっていきたい。
(全日本の2大会以外にはあまり出場していないが)試合で試したいことがあれば社会人選手権などにも出ると思いますが、大きな大会に集中したいと思うので、そうなっているだけです。来年も72kg級でやって、世界チャンピオン返り咲きが一番大きな目標です」
■76kg級・山本和佳(至学館大=大学の先輩の松雪泰葉=ジェイテクト=に勝って初優勝)「これまでは自分から攻めて勝つことができなかったけど、今日は自分から攻めて、チャンスを生かして勝つことができたのがよかった。パリ・オリンピックは鏡(優翔)さんに出られてしまい、正直、悔しかった。優翔さんが金メダルを取れるということは、自分にも可能性があると思います。ロサンゼルス・オリンピックに出られるように頑張りたい。
来年は、まずアジア選手権があるので、それに勝って、明治杯(全日本選抜選手権)にも勝って世界選手権に行きたい。試合では相手のペースになってしまうことが多いので、自分のレスリングを貫けるようにしていきたい。(現在4年生で)卒業後は東新住建に入り、至学館大学を拠点にレスリングを続けます」