2024.12.24

【2024年全日本選手権・特集】優勝選手の声(男子グレコローマン)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 

(2024年12月19~22日、東京・代々木競技場第2体育館)


 ■55kg級・山際航平(日体大=全日本大学グレコローマン選手権優勝の大楠健太との同門決勝を制して初優勝)「明治杯、天皇杯と2位が多く、今年の明治杯はメダルも取れずに終わってしまった。この大会で勝つために頑張ってきたにので、うれしい。自分の勝負強さが出たかな、と思います。

 (全日本学生選手権、今大会とフリースタイルにも挑戦)フリースタイルを練習したことで、左右の動きができるようになり、失点を減らして自分の動きができるようになりました。プラスになっています。明日(最終日)のフリースタイルはメダルを取れるように頑張ります。(U23世界選手権は3位に入賞したが)シニアの国際大会の壁は厚いと思います。自分のレスリングをしっかり固め、次の明治杯で優勝して世界選手権に挑みたい」


 ■60kg級・稲葉海人(滋賀県スポーツ協会=60kg級での飛躍を始めた元55kg級王者の塩谷優を破って2連覇)「体重の落ちが悪いと思っていたけれど、1回戦からよく動けた。決勝は、少し緊張する部分もあったのですが、相手の投げはこちらの圧力に負けての投げだったので、返すことができ、フォール勝ちできました。

 ロサンゼルス・オリンピックでメダルを取るつもりでやっているので、来年のアジア選手権や、世界選手権で優勝したいと思っています。まず国内で優勝できてよかったです。ふだんは大津市で勤務し、滋賀県の日野高校で練習していますが、時々母校(日体大)の練習に参加しています。文田先輩(健一郎=パリ・オリンピックの同級金メダリスト)は中学、高校、大学の先輩なので、偉大な先輩を目指して頑張りたいです」


 ■63kg級・三谷剛大(育英大=決勝でアジア選手権2位、2連覇を目指す鈴木絢大に快勝)「これが(選手生活で)ラストの試合になるので、思い切りやった。しっかり投げることができて、うれしい。後輩につなげることができたことも、メチャメチャうれしい。岡山の高松農業高校からレスリングを始め、インターハイも国体も出たことがないのです。柳川(美麿)先生にスカウトされて入った育英大学で、本当に伸ばしてもらい、恩返しができたかな、と思います。

 小中学校は柔道をやっていたので、最後に柔道の投げ技が生きたかなって思います。来年からは福山市(広島)に帰って消防士になるので、レスリングはこれで終わりです。(引退は)大学に入った時、そう決めていました。最後に最高の結果になってよかった。僕が入学したころは、『育英大学ってどこにあるの?』みたいな感じだったけど、後輩たちが活躍して有名になってきて、それに押されて頑張れました」


 ■67㎏級・遠藤功章(東和エンジニアリング=1年ぶりの実戦で3年ぶり2度目の優勝)「ぶっちゃけ、トーナメント表を見た時から自分が圧倒的に勝たなきゃダメというふうに思っていました。今回の内容では、きっと(曽我部と再戦しても)同じ結果(黒星)を招く気がする。来年6月の明治杯には、一人どうしてもやり返さないといけない相手(曽我部)がいるので、死にもの狂いで、まあゼロからではないですけど、そういうふうにやっていかないとダメだなということを再認識しました。

 決勝を争った(田南部)魁星のことはリスペクトしています。彼はフリースタイルだけではなく、グレコローマンも強いのでうらやましいな、と思います。ただ、闘うからには一選手なので、フリースタイルの選手だからといって気を抜いたりはせず、リスペクトを持って全力でいきました。そうでないと失礼」


 ■72kg級・本名一晟(育英大=全日本学生選手権優勝に続いての日本一)「インカレで初めて学生の大会で優勝しましたが、そのときに首を痛めてしまい、練習できない時期がありました。そのときは不安で不安で仕方なかった。10月の半ばくらいから練習できるようになり、体作りに励んできました。結果につながってよかったです。2回戦は構えが不安定で危ない試合でしたが、次の試合から構えを安定させることができて優勝につながったのかな、と思います。

 (育英大に)女子でオリンピック優勝の選手が2人いて、パワーをもらって、モチベーションが上がって練習に取り組めました。(2023年世界5位で大学の先輩にあたる原田真吾が負傷欠場で)チャンピオンに勝ってこそ、本当のチャンピオンかな、という気持ちもあります。出られなかった原田選手の分まで自分が勝ててよかったと思います。(来年は国際舞台へ?)これまで1回しか国際大会に出たことはないのですが、勝って日本代表として出られるのはうれしいです。世界でも闘える選手になれればうれしいです」


 ■77㎏級・櫻庭功大(自衛隊=学生王者らを破って2年ぶり3度目の優勝)「今日はグラウンドで返せるところを返して、スタンドでも取れるとこをしっかり取れたので、自分のいいところがいっぱいあった大会だったと思います。大会前はスタンドの押しだったり、そこから仕掛ける技だったり。グラウンドでもしっかり取り切る技をしっかり出そうと思っていました。

 去年(世界選手権出場決定のプレーオフで日下尚に敗れ)、『自分は何をしているんだろう』と思いました。負けたことがショックで、その後しばらくは気持ちの整理がつかなく、結構休んでいました。でも、応援してくださる方々や支えてくださる方々のおかげで、今こうしてマットに上がれている。本当に感謝したい。日下選手がパリ・オリンピックで金メダルを獲得したことは、いい刺激になりました。また挑戦していかないといけない。勝たないと、次のオリンピックが見えてこないので、日下選手にしっかりと勝ち切れるように頑張ります」


 ■82㎏級・吉田泰造(香川・高松北高=全日本選抜選手権に続き、高校生で初めて全日本2大会を制覇)「高校生で明治杯と天皇杯の二冠王者はいない、ということで、それが達成できたのでとてもうれしい。今日の大会のキーポイントは決勝戦。自分の動きができなかった。いつもならスタンドで押し出したり、スタンドから2点や4点を狙いに行くんですけど、そうすることができずに、しんどい試合になってしまいました。

 (去年の天皇杯は準優勝。それからどんな成長を遂げたかを聞かれ)今年の明治杯まではグラウンドで一回も返せないというレベルだった。それからグラウンドの強化を図ったので、それが実ったのかなと思います。(同じ高校の先輩である日下尚がパリ・オリンピックで優勝したことについて)高松北高校は地方の学校で、部員も少なくて環境も整っていないんですけど、その中からオリンピック・チャンピオンが出るということは、自分にも可能性があることを証明してくれました。今日は優勝できたので、先輩に何か買ってもらうつもりです(笑)」


 ■87kg級・阪部創(自衛隊=パリ・オリンピック出場は逃したが、再起の優勝)「練習してきたことを、少しは出せたかな、と思います。オリンピック予選で負けたあと、構えや相手への圧のかけ方を変えました。気持ちを立て直すのには時間がかかり、『もういいか』という気持ちもありましたが、時間が経つにつれ、まだやりたいと言うか、自分のレスリングをまだ突き詰めたいという思いが出てきました。

 (ライバルであり同門で切磋琢磨してきた同期生の角雅人が引退して)だからこそ負けられない、という気持ちがありました。高校のときからの知り合いで、ずっとライバルとしてやってきました。(その角が第2セコンドについて)アドバイスをもらうのは、不思議な気持ちがしましたけど、優勝できていよかった。日本で優勝して満足していてはならず、アジア選手権とかで結果を出さなければならない。世界で勝ちたいという気持ちが、いっそう強くなっているので、来年は結果を出したい」


 ■97㎏級・仲里優力(佐賀県スポーツ協会=国民スポーツ大会130kg級優勝を経て、2年連続優勝)「(パリ・オリンピックの)アジア予選と世界予戦が終わって、国スポもあったんですけど、国内で自分の本来の階級である97㎏級で闘うのは久々だった。海外の選手と国内の選手は、闘い方が全然違ってくる。ちょっと不安な部分もありました。ロサンゼルス・オリンピックを目指してやっているので、国内の大会では絶対に勝たないといけないというプレッシャーもありました。それでも、自分のレスリングスタイルを貫いて、しっかり勝つことができたのでうれしい。

 (決勝は同じ沖縄出身の鶴田峻大だったことについて)先輩ですけど、越えなきゃいけない壁だと思っています。国内で鶴田さんと切磋琢磨することによって、どんどんレベルが上がって世界でも通用するようになってくるんじゃないかなと思います。(勝負のポイントとなった第2ピリオドのステップアウトについて)あの時点で取れなかったら、たぶん試合はそのまま流れていくだろうと思いました。だんだんと経験を積んできたおかげで、今が取りに行くタイミングだとか、今取らないと逆転できないというタイミングが徐々に分かってきて、それで、ちゃんと取れたんだと思います」


 ■130kg級優勝・奈良勇太(警視庁=全日本選抜選手権に続いての優勝で、この大会も130kg級で初優勝)「(全日本選抜選手権の優勝との違いを問われ、窓の外の並木道のイルミネーションを指して)今回はいい景色で、気持ちがいいですよ(笑)。天皇杯はまだ息子の前で勝っていなかったので、きょう勝つところを見せられてよかったです。明治杯は奥村(総太)選手や小畑(詩音)選手がいない中での優勝でしたが、今回はその2人に勝っての優勝です。

 明治杯のときは105~106kg、今は110kgを超えていました。ただ太ればいいわけではないので、いろいろ考えながら、もう少し体重を増やしたい。これでアジア選手権に出場できると思います。この階級のイランは世界チャンピオンでオリンピック銅メダル。中国もオリンピック銅メダルで、韓国にも強い選手がいるので、それらの選手と自分がどこまで闘えるのか挑戦したい」