※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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【日本代表】 樋口黎(ミキハウス) 《略歴》 《JWFデータベース》 《UWWデータベース》 《国際大会成績》 |
2023年世界王者 |
エントリー選手 |
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2021年東京オリンピック王者のザウール・ウグエフ(ロシア)は、出場権を取ったが、国際オリンピック委員会(IOC)によって出場を認められなかった。昨年の世界選手権決勝を争ったステバン・ミチッチ(セルビア)と樋口黎(ミキハウス)が、再度、優勝をかけて激闘を展開するか。
ミチッチは世界選手権のあと、3月に「ダン・コロフ&ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)で優勝と好調。樋口も6月のランキング大会(ハンガリー)で勝ち、ともにオリンピック前の実戦練習で好調を示した。
第1シードと第2シードに分かれた組み合わせでは、ミチッチのブロックに2022年世界王者のゼリムハン・アバカロフ(アルバニア)がいるのに対し、樋口側には樋口がこれまで破ったことのあるシード選手が集まった。組み合わせの利は樋口にあるだろう。
第5シードのアバカロフは昨年の世界選手権はミチッチに2-6で敗れたあと、ウグエフ(前述=ロシア)を破っての3位。今年に入って欧州選手権61kg級で2位、5月の地元アルバニアの国際大会では65kg級に出場して優勝。体重調整が厳しいから重い階級に出ている可能性もあるが、優勝候補の一角であることは間違いない。
ミチッチと、どちらが決勝に出てくるか。ミチッチが勝てばセルビアの男子フリースタイルでは初、アバカロフか勝てばアルバニアのレスリング界では初のオリンピック・チャンピオンとなる。
昨年の世界選手権3位のアルセン・ハルチュニャン(アルメニア)は、今年の欧州選手権で優勝と実力を見せた。樋口は61kg級時代を含めて2度闘って2度勝っているが、昨年の世界選手権は16-14。一時は0-6、2-7とされる展開。地力を発揮して逆転できる樋口の底力はすごいが、8-16とリードされてもあきらめず、2点差まで追い上げるスタミナと粘りは要注意だ。
アジア大会3位のアマン・セフラワト(インド)、2022年世界選手権5位のゾウ・ワンハオ(中国)、2023年欧州選手権優勝のアリアッバス・ルザザデ(アゼルバイジャン)、2023年世界選手権5位のメイランベク・カルトバイ(カザフスタン)らも、上位を狙える実績のある選手だが、いずれも樋口が快勝している相手。樋口の実力を出し切れば勝てない相手ではない。
注意すべきは、世界最終予選を勝ち抜いたスペンサー・リー(米国)だろう。カデット(現U17)で1度、ジュニア(現U20)で2度、世界選手権を制しており、2021年の全米大学(NCAA)選手権で3連覇を達成。2021年東京オリンピックの代表候補だった。けがで断念し、完治まで長引いてしまったが、現在は復調。国内予選で2021年世界王者のトーマス・ギルマンを退けての代表権獲得。日本にも馴染みのある選手が(関連記事)、樋口の牙城を崩せるか。
Micic, Stevan Andriac(セルビア) | |||||
2023年 | 世界選手権 | ● | 4-7 | ○ | Micic, Stevan Andriac |
Harutyunyan, Arsen(アルメニア) | |||||
2023年 | 世界選手権 | ○ | 16-14 | ● | Harutyunyan, Arsen |
2022年 | 世界選手権 | ○ | VSU、1:02=10-0 | ● | Harutyunyan, Arsen |
Sehrawat, Aman(インド) | |||||
2024年 | 世界選手権 | ○ | VSU、5:30=11-1 | ● | Sehrawat, Aman |
Zou, Wanhao(中国) | |||||
2023年 | 世界選手権 | ○ | 4-1 | ● | Zou, Wanhao |
Rzazade, Aliabbas(アゼルバイジャン) | |||||
2024年 | I・ポリヤク&J・バルガ大会 | ○ | VSU、1:40=19-8 | ● | Rzazade, Aliabbas |
Kartbay, Meirambek(カザフスタン) | |||||
2023年 | 世界選手権 | ○ | VSU、4:18=11-0 | ● | Kartbay, Meirambek |