※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
神奈川県レスリング協会
7月2日(日)。前日の悪天候とは打って変わり、夏の日差しが燦燦(さんさん)と照りつける海開きしたばかりの神奈川県葉山町の大浜海岸。汗と砂にまみれたジュニアレスラー達が、スパーリングする姿がありました。
定期的に月2回行われている神奈川県ジュニア練習会。この日の講師は、今年4月、日本初のビーチ・レスリング・クラブ「葉山ビーチレスリングクラブ」を発足した田中幸太郎氏(葉山町在住=早大卒)。
「ルールもシンプル。マットもレスリングシューズもいらない。青空の下、砂の上でレスリングをする楽しさをもっと広めたい」(田中代表)。
県内クラブから小中高生約50人が参加して行われました。「みんなが使う海岸。まずは、きれいにしよう!」
ゴミ拾い、石拾いを行い、マット設営ならぬ、会場設営からスタートしました。「子供達の環境を大切にする心も養いたい」
ウォーミングアップは“ビーチフラッグ”。フラッグと言っても、水道のホースを短く切断したもの。ここでも環境や安全に配慮していることがうかがえました。その後、ルール説明を行い、打ち込み、年代ごとにサークルを足で描き、スパーリングを行いました。ビーチ・レスリング初体験といっても、レスリング経験のある選手ばかり。戸惑うことなく汗と砂にまみれていました。
ふだんの練習と異なるのは、練習中の笑顔と歓声。そして、スパーリングにとにかく積極的なこと。
「今の世界のレスリング情勢は、ロシアやイランが強い。でもマットもレスリングシューズも体育館も必要がないビーチ・レスリングは、アフリカなど身体能力も高く、発展途上の国にチャンスがあるかもしれない。2028年のロサンゼルス・オリンピックで女子が正式種目になるとの声もある。ジュニアのビーチ・レスリングを葉山から発信したい」(田中代表)
今回参加した高校生は、海岸から車で10分の自衛隊駐屯地内にある高等工科学校レスリング部の選手達で、部を率いるのは、2006年世界選手権3位(男子フリースタイル60kg級)の高塚紀行監督。
「レスリングはしんどい競技。ウチの選手はほぼ初心者です。だからこそ、レスリングの楽しさを教えたい」
現役時代から交流のあるトップレスラーがタッグを組み、都心からも近い三浦半島がジュニア・ビーチ・レスリングの聖地になるかもしれない。
また、神奈川県レスリング協会の粟田敦会長は「いずれ、時期を見て、葉山でジュニアの大会を開催したい」と話す。ジュニアのグレコローマン練習会とともに、また一つ新しいことにチャレンジする神奈川県に注目です。