※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
男子フリースタイルと女子の2022年ワールドカップは12月10日(土)~11日(日)に米国・アイオワ州コーラルビルで行われる。大会が開催されるのは3年ぶり。日本の男子フリースタイルは、2012年大会に17年ぶりに出場を果たし、2014年まで3大会連続で出場。その後、空いてしまったが、2018・19年大会に出場し、2018年に今回と同じアイオワ州で行われた大会では3位に入賞した。
今年の世界選手権の国別対抗得点で3位となり、3大会連続出場を果たした。U23世界王者の白井達也(日体大)ら若いメンバーによるチームで、世界の強豪国へ挑む。
予選2試合の見どころをさぐった。
《展望》イランはベストに近いメンバー。若手中心の日本が勝機をつかむには、軽量級5階級を全勝するか、4勝して重量優に1勝を託すかとなろう。米国協会は「一方的になる可能性がある」と予想する一方、日本の若い選手は自らの名前を世界にアピールし、世界に飛躍するチャンス、とも記している。
【57kg級】山口太一(早大)- Momenijoujadeh, Reza Hossein
レザ・ホセイン・モメニジョウジャデフは、U20アジア選手権2位の若手選手。山口もその大会に出場し、対戦はなかったものの、5位に終わっている。直接対戦で実力を示したい。
【61kg級】森川海舟(拓大)- Habibzadeh Saroukolaei, Armin Mehdi
U20アジア選手権優勝のアーミン・ハビブザデフ・サロウコラエイ(イラン)は、U20世界選手権決勝で西内悠人(高知・高知南高)が競り勝った選手。森川も続きたいところ。
【65kg級】安楽龍馬(nobitel)- Amouzadkhalili, Rahman Mousa or Bagheriheidarabadi, Mohammadreza
アジア選手権を制したラフマン・アモウザドハリリは、世界選手権でも優勝と実力を見せた。U23世界選手権銅メダルで、オリンピック王者・乙黒拓斗に挑む立場の安楽としては、是が非でも殊勲の勝利を挙げたいところ。
【70kg級】大野恵太郎(日体大)- Fazlikhalili, Aliakbar Aliashgar or Yazdani Cherati, Amir Mohammad Babak
昨年のU23世界選手権3位のアリアクバー・ハズリハリリと、今年の同2位のアミール・モハマド・ヤズダニチャラティのどちらが出てくるか。どちらであっても、同世代の大野にとって、負けられない一戦。
【74kg級】木下貴輪(クリナップ)- Firouzpourbandpei, Mohammadsadegh Biglar
U23世界選手権で、昨年2位、今年優勝と実力を伸ばしているモハマドサデグ・フィロウズプアアンドペイがエントリー。74kg級で初の国際大会となる木下にとって、国際舞台でどこまで通用するかの試金石となる相手。
【79kg級】山﨑弥十朗(サイサン)- Nokhodilarimi, Mohammad Ashghar or Savadkouhi, Ali Bakhtiar
世界選手権で2年連続2位のモハマド・ノホディラリム相手に、山崎がどこまで食いつけるか。アジア選手権を制したアリ・バクティール・サバドコウヒであっても、乗り越えなければならない相手。
【86kg級】白井達也(日体大)- Karimimachiani, Alireza Mohammad
92kg級で2019年アジア選手権優勝・同年世界選手権2位のアリレザ・カリミマティアニが、オリンピックを目指して86kg級へ下げてきた。U23世界選手権優勝の白井が、どう闘うか。
【92kg級】三浦哲史(拓大)- Ghasempour, Kamran Ghorban or Firouzpourbandpei, Amirhossein Biglar
U20世界選手権出場の機会を得た三浦が、その経験をもって2年連続世界王者のカムラン・ガセムプールに挑む。副エントリーのアミールホセイン・フィロウズプアアンドペイも今年U20とU23の世界選手権を制した成長株。どちらが相手でも厳しい闘いとなろう。
【97kg級】品田陽平(法大)- Azarpira, Amirali Hamid
アミラリ・アザルピラは昨年と今年のU23世界選手権を制した選手。今年のU20アジア選手権も制しており、いずれシニアで飛躍する可能性のある選手。急きょ出場が決まった品田が、捨て身の闘いを挑めるか。
【125kg級】二ノ宮寛斗(不二精機)- Masoumi Valadi, Amirreza Fardin
アミルレザ・マスミ・バラディは昨年の世界カデット(現U17)選手権王者であり、今年はU20とU23の世界選手権を制した成長株。本来97kg級の二ノ宮がスピードに勝機を見い出せるか。
《展望》出場5ヶ国以外の強豪選手を集めた世界選抜チームが相手。世界王者もいて、若い日本チームの苦戦は否めない。日本が世界一に輝いた階級の61kg級(森川海舟)、70kg級(大野恵太郎)、U23世界一に輝いた86kg級(白井達也)などで白星をマークし、チームの勝利に近づきたいところ。
【57kg級】山口太一(早大)- Abakarov, Zelimkhan(アルバニア)
アルバニアから初の世界王者となった元ロシアのゼリムハン・アバカロフを相手に、U20アジア選手権5位の山口がどこまで通用するか。
【61kg級】森川海舟(拓大)- Vangelov, Georgi Valentinov(ブルガリア)
ゲオルギ・ワンゲロフは東京オリンピック5位で、今年の世界選手権61kg級5位。本格的に61kg級に上げたのはオリンピック後。65kg級へアップする森川がパワーに勝機を見い出せるか。
【65kg級】安楽龍馬(nobitel)- Muszukajev, Iszmail(ハンガリー)
東京オリンピック5位、2019・22年世界選手権3位とコンスタントに上位に顔を出しているイスマイル・ムスカエフが出場。乙黒拓斗を破ったこともある選手。U23世界選手権銅メダルの安楽の実力がどこまで通用するか。
【70kg級】大野恵太郎(日体大)- Akmataliev, Ernazar(キルギス)
エルナザル・アクマタリエフは、アジア選手権と世界選手権で、ともに成國大志に敗れている。日本選手への苦手意識があれば、大野にも十分勝機があろう。
【74kg級】木下貴輪(クリナップ)- Salkazanov, Tajmuraz Mairbekovic(スロバキア)
2年連続世界選手権2位のタイムラズ・サルカザノフに、74kg級で初の国際大会となる木下の健闘が期待される。
【79kg級】山﨑弥十朗(サイサン)- Budazhapov, Arslan(キルギス)
世界選手権3位のアルスラン・ブダジャポフは、79kg級にアップしてからもコンスタントに上位に顔を出している実力者。山﨑がどこまで食いつけるか。
【86kg級】白井達也(日体大)- Dauletbekov, Azamat(カザフスタン)
アザマト・ダウレトベコフは今年のアジア選手権優勝、世界選手権3位の選手。U23世界選手権優勝の白井にとって、ワンランクアップする格好の相手と言えよう。
【92kg級】三浦哲史(拓大)- Nurmagomedov, Osman(アゼルバイジャン)
2年連続で世界選手権3位のオスマン・ヌルマゴメドフは世界一を視野に入れている選手。三浦がどこまで牙城に迫れるか。
【97kg級】品田陽平(法大)- Tsakulov, Batyrbek(スロバキア)
元ロシアのバティルベク・ツァクロフは、2019年U23世界選手権3位を経て、今年のシニア世界選手権2位と実力を伸ばしている。品田が意地を見せられるか。
【125kg級】二ノ宮寛斗(不二精機)- Khotsianivski, Aleksander(ウクライナ)
2012・20年オリンピック代表、ベテランの域に入ったアレクサンダー・ホツィアニフスキー。今年の世界選手権は8位。戦禍の中でどの程度実力をキープしているか。二ノ宮がどう挑むか。