※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2005年に始まったドン・キホーテ杯全日本ビーチ選手権。東京オリンピックにからんで2019・20年は大会予定そのものが予定されておらず、昨年はコロナ禍のため中止となった“真夏の祭典”が8月11日、4年ぶりに開催された。
参加は約175選手と、これまでより少なかったが、日本協会の富山英明会長は「青空の下でやるレスリングはいいね。コロナがあったけど、みんなの無事を確認できた、という感じ」と話し、太陽の下でやるレスリング大会の再開を歓迎。大洗町とドン・キホーテに多大のご支援を受けての開催であることに、深い感謝の意を示し、引き続きの支援を望んだ。
同会長は、1982年にインド・ニューデリーで行われたアジア大会のときに、野外のサッカー場で青空天井の試合を経験したことがあり、「外でやるのも気持ちいいよ」と思い出を振り返った。相手の選手の背後に壁や観客席がなくて空間となり、距離感がつかめないというか、感覚が違うという。「ビーチで勝ち抜くには、室内のレスリングとは違った強さが必要になるんじゃないかな」と話した。
日本でビーチがストップしていた間、世界のレスリングに大きな動きがあった。世界レスリング連盟(UWW)のネナド・ラロビッチ会長がビーチをオリンピック種目にするべく奔走しており、2028年ロサンゼルス・オリンピックでの採用の可能性が出てきたこと。富山会長は開会式で選手に可能性を伝え、夢をもってビーチに取り組んでほしいことを訴えた。
ラロビッチ会長は国際オリンピック委員会(IOC)の理事でもあり、IOC内で発言力もある。「自分の役目として、ビーチをオリンピックに入れる」と話していたという。今後は、“夏の楽しみ”から、“オリンピックを目指した大会”となる可能性もあり、富山会長は日本は出場していなかったビーチのワールドシリーズなどへの参加も視野に入れていきたいという。
開会式では、日本協会の斎藤修審判委員長から、オリンピック入りを前提にルールの変更があったことが説明された。テークダウンを取ってゴービハインド(相手のバックに回る)は3点となり、それで試合が終了することなど新しいルールで実施された。2028年大会に採用されるとなれば、6年後となる。来年以降は、“楽しさ”を求めるだけの大会だけでなく、強化を目指した要素も取り入れながらの開催となるか。(撮影=保高幸子)