※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
イタリア・ローマで行われているU17世界選手権に出場した男子グレコローマン・チームが7月29日、羽田空港に帰国した。メダルはなかったが、5位が2人、7位入賞が2人という結果だった。
文田敏郎コーチ(山梨・韮崎工高教)は「グレコローマンのキャリアが少ない中で、果敢に攻めていたし、全体としていい試合をしていたと思う。55kg級の金澤孝羽=東京・自由ヶ丘学園高=は、3位決定戦でラスト5秒で逆転されるなど(公式スコアではラスト2秒)、メダルに近い内容だった」と、7選手が最低1勝を挙げた結果を振り返った。
幼少の頃からグレコローマンに取り組んでいる外国選手は、差しなどの技術だけではなく、審判へのアピールなどもうまく、日本選手はどうしても翻ろうされてしまうと言う。グラウンドではバック投げとローリングの使い分けがうまく、日本選手が追いつくには「時間がかかると思う」と言う。
シニアでは、グレコローマンでも毎年メダルを取る選手が出ているが、U17世代で「メダルなし」は珍しいことではなく、オリンピック3位になった屋比久翔平(現ALSOK)、世界3位になった清水賢亮(現自衛隊)、日本最年少のアジア王者になった塩谷優(現拓大)は、いずれもU17(当時カデット)の世界選手権ではメダルに手が届かず、そこから世界トップにはい上がっている。
「日本選手の力(資質)はこんなものではないと思う。希望は持てる内容」という言葉は、決して強がりではあるまい。各選手が、このあとグレコローマンに専念してくれるかどうかは分からないが、「時間をかけて強くなってほしい」と期待した。