※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
中学レスリング選手の“甲子園”、沼尻直杯全国中学生選手権が、全国から694人(男子522人、女子172人)がエントリーして3年ぶりに開催された。2020年は新型コロナウィルス感染拡大のため日本全体の活動が停滞してしまった中での中止、昨年は3年生のみの大会開催を告知しながら、感染拡大が再拡大し、約1ヶ月前に無念の中止となった。3年ぶりに全国の中学選手が集まった大会開催に対し、主管の全国中学生連盟の沼尻久会長に聞いた。
――3年ぶりに開催された沼尻直杯全国中学生選手権ですが、今のお気持ちは?
沼尻 感無量です。今大会は無観客でしたが、よくここまで来た、という気持ちでいっぱいです。参加費を1500円上げて5000円にし、そのお金で抗原検査キットを買い、ネット配信に費やさせていただきました。選手には本当に申し訳ないという思いです。次回は参加料を下げたいと思っています。
――2020年の中止は仕方なかったと思います。昨年は、5月末に明治杯全日本選抜選手権をやりました。できたかもしれない状況でした。
沼尻 私も、そう思いました。ただ、義務教育である中学生の場合、厳しいところがありました。県外への移動は認めない、という学校が1県でもあると、本当の全国大会にはならない。残念な思いで中止を決めました。「3年生だけでやろう」となって、スポンサーの承認も得ましたが、結局、中止となってしまいました。
――今年も1月中旬から感染者が急増し、春先まで続きました。開催が心配だったのではないでしょうか。
沼尻 どうしようか、と思いました。会議を7回か8回やりまして、「無理では?」という声があったのも事実です。しかし、今年できなかったら、中学での3年間、一度も全国大会に出ずに終わる選手が出てくるわけです。そうなったら私たちの責任、とも考えました。選手に対して申し訳ないです。
――開会式のときのお気持ちを、あらためてお聞かせください。
沼尻 感無量で涙が出ました。日本協会の福田富昭・前会長(現名誉会長)と富山英明会長も来てくださり、多くの人のこの大会への思いを感じました。
――実際に試合を見て、選手から活気は感じられましたか?
沼尻 (活気が)ありましたね。また、顔を知らない選手であっても、私の姿を見つけると多くの選手があいさつに来てくれました。この大会の歴史の重みをつくづく感じました。
――中学レスリングの発展をお祈りします。
沼尻 中学レスリングのメッカ(聖地)的な存在として、この大会があります。中学生にとって、この大会は夢です。歴史ある大会をしっかり発展させていきます。