※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
昨年10月、富山英明会長就任にとともに藤沢信雄副会長(大東大監督)が本協会の専務理事に就任。富山会長とともに協会運営に携わることになった。選手時代は世界選手権2位の成績を持ち、東日本学生連盟会長や全日本学生連盟会長などを歴任。組織運営をこなしてきた。協会運営について、藤沢専務理事に聞いた。
就任から5ヶ月、協会運営の展望を語った藤沢信雄専務理事
――専務理事就任から約5ヶ月が経ちましたが、振り返って、いかがでしょうか。
藤沢 富山会長や事務局長と話しながら、専務理事としてやるべきことを手探りで実行してきた、という感じです。福田富昭会長(現名誉会長)と高田裕司専務理事の時代は、やっていく途中から2人があうんの呼吸でできていた面があったと思います。まだそういうふうにはなっていません。会長と話し合いながら、言わなければならないときは自分の意見を言って方向性を探っている、という感じです。
――福田名誉会長は、協会の財源を一手に引き受けていた、と言っても過言ではありません。その後を継ぐのは大変なのではないでしょうか。
藤沢 その通りです。福田名誉会長は財源確保で大きな実績を残されました。企業との幅広い交流以外にも、外部団体との交渉のうまさ、世界連盟(FILA=現UWW)で副会長も務められた活動など、すごい業績を残された方です。追いつく、という気持ちではなく、指導を受けながら、できるものからやっていきたいと思っています。富山会長は福田名誉会長の直接の教え子であり、意思疎通がしっかりできています。富山会長と2人で、学びながらやっていきたい。
――福田名誉会長は、企業の協賛が継続されるように今でも尽力していると聞いています。
藤沢 メーンの協賛企業である明治、アシックスの両社をはじめ、数社に福田名誉会長とともにお伺いし、担当者を紹介していただきました。これまで大会の会場で企業の方とお会いしたことはありましたが、訪問して協賛をお願いすることはなかったです。初めての経験続きです。
――今後の協会運営に関する展望や指針をお聞きしたい。
藤沢 だれが専務理事になろうとも、選手の育成と財源の確保が課せられる仕事です。この2つをしっかりさせないと、レスリングが衰退してしまいます。サッカーや野球のように観客が何万人も入る競技なら、ある程度の収入のめどは立つでしょうが、レスリングの場合はそうではない。どうやって財源を確保するか。協賛企業のほか、少しずつでも競技人口や観客を増やし、協会運営に還元できる方法を考えていきたい。
――とりあえず強化に力を入れたいとは思いますが、新型コロナウィルス感染拡大のため、今年に入ってから思うような活動ができていませんね。
藤沢 (初めての事態なので)国のトップであっても、100パーセント的確な判断はできない状況です。それであっても、政府の方針を基準に、自粛するときは自粛するしかないと思います。勝手に活動するわけにはいきません。
――2月19日からの全日本合宿は中止になりました。選手の競技力アップという面での心配は?
藤沢 当然、心配です。私は大東大で監督を続けていますが、大学からは対外的な活動を控えることを言われ、出げいこに行くことや他大学の選手が来ることに制約があります。陽性者が出てしまったクラブもあります。他の大学や協会でも同じことだと思います。他チーム選手との練習は、そう簡単にできない状況です。
――海外ではUWWのランキング大会が始まります。世界トップ選手はけっこう国際大会に出ています。選手に焦りみたいな気持ちが出てしまう可能性がありますね。
藤沢 出てくるでしょう。これは個人的な意見になりますが、出場できるのなら積極的に出てほしいし、国内の大会もできるだけ開催してほしい、開催を前提に考えてほしい、とは思っています。
――今年度中の海外遠征の予定はありませんが、4月のアジア選手権(モンゴル)は?
藤沢 参加させる予定です。ただ、今後の状況次第ですね。国から「海外には行かないように」と言われる状況になったら、行かせるわけにはいきません。