※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
10月の西日本学生選手権フリースタイルで5階級を制覇した徳山大が、2021年西日本学生秋季リーグ戦を勝ち抜き、13シーズンぶりの優勝を遂げた。優勝を争った相手は、前年の優勝決定戦で敗れて初優勝を“プレゼント”することになった九州共立大。今年の対戦は第1試合から勝ち続け、第4試合で優勝を決める快勝でリベンジ優勝を果たした。
守田泰弘監督は、就任4年目での栄冠に「よくやってくれました。下馬評では有利と言われていましたが、勝負に『絶対』はありませんから」と顔をほころばせた。実際に、予選グループではチームスコア4-3が2試合。どこかが間違えば、優勝決定戦進出はなかった。
「余裕はなかった」とのことだが、「勝つべきところでしっかり勝ち、試合に出る選手だけでなく、出ない選手も一丸となってやってくれました。私の力というより、学生たちがこの大会へ向けてしっかり準備をした成果だと思います」と総括した。
優勝決定戦は、スタートから4連勝で勝負が決まった。「予定通り? それとも、ここまでスムーズに優勝できるとは思っていなかった?」との問いには、明確な答えはなかったが、「ここは、というポイントで勝てたことが大きかった。望んでいた結果です。想定内と言えば想定内ですが、いい形でつなげられました」と言う。第1試合を接戦で勝ち、いい流れができたと振り返った。
階級 | 徳山大 | 試合結果 | 九州共立大 | ||
74kg | 竹内祐斗 | ○ | F、4-0 | ● | 古川裕貴 |
61kg | 小石原央義 | ○ | 6-2 | ● | 西 真生 |
70kg | 永松 麗 | ○ | TF、11-0 | ● | 光岡泰宏 |
86kg | 早川耐我 | ○ | TF、10-0 | ● | 大野健太 |
57kg | 清水目光生 | ○ | F、9-2 | ● | 荒木瑞生 |
65kg | 飯田 蓮 | ● | 1-6 | ○ | 秋山拓未 |
125kg | 青山夢斗 | ● | 0-5 | ○ | 髙橋三十郎 |
優勝(4勝目)を決めたのは、奇しくもチームを支えてきた早川耐我主将。「最後に花を持たせてくれましたね」と、天の配剤に感謝した。
チームとしては2014年春季以来の優勝だが、守田監督就任以降は初めて。「目標は3年目での優勝だったんです」とのことで、もくろみより1年遅れてしまったが、久しく空いた栄冠を奪還して気持ちよさそう。
今年春は、新型コロナウィルス感染拡大のためJOCジュニアオリンピックカップや春季リーグ戦が中止へ。それでも秋には持ち直し、西日本学生選手権と全日本学生選手権が思いもかけずに地元・周南市で開催されることになった(注=前者は予定されていた会場がワクチン接種で使用できなくなり、後者は東京予定が中止され、ともに周南市で実施)。
「やはり地元で大会があるのは、気持ち的にも違います。(飛躍の)きっかけとなったというか、意識の高まりにはつながりましたね」。準備などで通常にはない苦労もあっただろうが、その見返りもあった地元開催だった。
徳山大は1992年から97年の6年間12シーズンで7度優勝を成し遂げ、西日本大学の顔だった。しかし、その後は2季連続優勝が2回あるものの、優勝争いから離れることが多くなっていた。「OBの方々が築いた礎(いしずえ)があります。優勝したことで、OBの方々に喜んでいただけると思います」と話し、伝統復活を目指す。
ただし、「徳山大」としての優勝はこれが最後。来年度から公立大学に変わり、校名も「周南公立大学」と変わる。「監督就任5年目の節目になります。新しい大学として、いいスタートを切りたいです」と、手綱をゆるめることなく強化を続けていく腹積もり。
そのためにも、12月の全日本選手権(16~19日、東京・駒沢体育館)に「徳山大」として最後の出場を果たす選手に健闘を期待する。「徳山魂をもって、臆することなく闘ってほしい」と、来年につながる闘いを望んだ。