※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2021年世界選手権の女子53kg級に出場した藤波朱理(三重・いなべ総合学園高)が「17歳10ヶ月25日」で世界一に輝いた。現行ルール下では、1999年62kg級で優勝した正田絢子(京都・網野高)の「17歳10ヶ月9日」に続き、世界歴代2位の年少記録となる。
現在の世界レスリング連盟(UWW)のルールでは、シニアの大会に出場するには、その年の12月31日の時点で「18歳」になっていることが必要(大会時に17歳の選手は医師の診断書が必要)。
女子がスタートした当初は、年齢制限はなかったか、男子と同じ規定があっても遵守されておらず、1987年の第1回世界選手権(ノルウェー)ではアン・ホルテン(ノルウェー)が「15歳8ヶ月」で47kg級を制している。あらゆる規定を取り払って考えると、これが女子最年少の世界チャンピオンとなる。
1989年の第2回大会(スイス)からは「1月1日の時点で17歳」との男子の規定に準ずることになった。日本協会はこの規定を遵守し、この年も翌90年も全日本チャンピオンだった山本美憂選手の派遣をしなかった。しかし、大会では厳密に守られず、1990年大会では16歳の世界チャンピオンが誕生している。
1991年の東京開催の世界女子選手権に際し、山本美憂選手を出場させるために日本協会が国際レスリング連盟(FILA=現UWW)を動かし、「12月31日の時点で17歳」との特別ルールを採用。規定を遵守したもとでは、山本美憂の「17歳0ヶ月」が最年少の世界チャンピオンとなる。
なお、日本の高校生で世界一に輝いたのは、1991年の山本美憂(47kg級)、1999年の正田、2002年の伊調馨(63kg級)、2017年の須﨑優衣(48kg級)に次いで5人目。
年 齢 | 選 手 | 階 級 | 年 ・ 大 会 ( 場 所 ) |
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17歳10ヶ月9日 | 正田絢子(日本) | 62kg級 | 1999年世界選手権(スウェーデン) |
17歳10ヶ月25日 | 藤波朱理 | 53kg級 | 2021年世界選手権(ノルウェー) |
18歳1ヶ月26日 | 須崎優衣(日本) | 48kg級 | 2017年世界選手権(フランス) |
18歳1ヶ月29日 | Pei, Xingru(中国) | 60kg級 | 2016年世界選手権(ハンガリー) |
18歳2ヶ月2日 | Hartmann, Nikola(オーストリア) | 61kg級 | 1993年世界選手権(ノルウェー) |
18歳2ヶ月27日 | Jing, Rui Xue(中国) | 67kg級 | 2006年世界選手権(中国) |
18歳4ヶ月 | 伊調 馨(日本) | 63kg級 | 2002年世界選手権(ギリシャ) |
18歳5ヶ月 | 奥野春菜(日本) | 53kg級 | 2017年世界選手権(フランス) |
18歳5ヶ月24日 | Merleni, Irina(ウクライナ) | 48kg級 | 2001年世界選手権(ブルガリア) |
18歳6ヶ月0日 | Ganachueva, Saneit(ロシア) | 50kg級 | 1995年世界選手権(ロシア) |
18歳6ヶ月14日 | Wang, Chao-Li(中国) | 65kg級 | 1992年世界選手権(フランス) |
年 齢 | 選 手 | 階 級 | 年 ・ 大 会 ( 場 所 ) |
---|---|---|---|
15歳8ヶ月 | Holten, Anne(ノルウェー) | 47kg級 | 1987年世界選手権(ノルウェー) |
16歳7ヶ月 | Pedersen, Asa Helena(スウェーデン) | 47kg級 | 1990年世界選手権(スウェーデン) |
17歳0ヶ月 | 山本美憂(日本) | 47kg級 | 1991年世界選手権(東京) |
17歳3ヶ月 | Smirnova, Olga(ロシア) | 50kg級 | 1996年世界選手権(ブルガリア) |
17歳6ヶ月 | Holten, Anne(ノルウェー) | 50kg級 | 1989年世界選手権(スイス) |
17歳7ヶ月6日 | Zhong, Xiue(中国) | 44kg級 | 1991年世界選手権(東京) |
17歳7ヶ月13日 | Liu, Dong Feng(中国) | 75kg級 | 〃 |