※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《第1シード》ステバン・ミチッチ(セルビア=元米国)、《第2シード》ザウール・ウグエフ(ロシア)、《第3シード》スレイマン・アトリ(トルコ)、《第4シード》クマール・ラビ(インド)
2018・19年世界チャンピオンのザウール・ウグエフ(ロシア)が首一つ抜けている状況。2017年秋からの4年間で外国選手に敗れたのは、2018年欧州選手権と2019年欧州大会でのアゼルバイジャン選手(別選手)のみ。ともに出場しないので、嫌な相手はいない状態での闘いへ。2017年世界王者の高橋侑希、2019年世界選手権2位のスレイマン・アトリ(トルコ)あたりが敵となるか。
世界最終予選で出場枠を取り、国内での闘いを勝ち抜いた高橋は、2018年世界選手権でウグエフと闘い、2-7で敗れている。リベンジを目指すとともに、2019年世界選手権3位のクマール・ラビ(インド)に2019年アジア選手権で勝ったあと2連敗中なので、ここも乗り越えなければならない。ノーシードなので、初戦でウグエフとの激突もありうる。
アトリはコンスタントに上位に顔を出しており、今年4月の欧州選手権もウグエフとは別のロシア選手を破って優勝。波に乗ってオリンピックへ挑む。
第1シードを獲得したステバン・ミチッチ(セルビア=元米国)は、米国ミシガン大で活躍していた選手。2018年NCAA選手権133ポンド級2位、翌年は3位の成績を残す一方、2018年から父の国籍のセルビアを選択して国際舞台で活動。2019年欧州大会2位を経て、2019年世界選手権5位で、オリンピック出場枠を取った。
セルビアが男子フリースタイルでオリンピックに出場するのは初。「グレコローマンが強い」というイメージのあるセルビアだが、米国大学で鍛えた選手ということを忘れてはなるまい。
世界選手権で2018年2位・2019年3位のヌリスラム・サナエフ(カザフスタン=元ロシア)は、コロナ禍のあとは主に61kg級で大会に出場。4月の「ダン・コロフ-ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)で優勝など結果を残した。57kg級へのUターンはどうか。
アジア予選を1位で勝ち上がったグロミョン・アブデュラエフ(ウズベキスタン)は、6月の「ジオルコウスキ国際大会」(ポーランド)61kg級の1回戦でレザ・アフマダリ・アトリナガルチ(イラン)、準決勝でサナエフ(カザフスタン=前述)、決勝でラビ(インド=前述)と、今大会に出場するアジアの選手を次々と破って優勝。成長ぶりを見せている。
欧州予選1位のアルセン・ハルチュニャン(アルメニア)は昨年12月の個人戦ワールドカップで、ミチッチ(セルビア=前述)を破るなどして2位。パンアメリカン予選1位のトーマス・ギルマン(米国)は2017年世界選手権2位の実力を持つ。
世界最終予選2位のベクバヤール・エルデネバト(モンゴル)は、同決勝は負傷途中棄権で高橋侑希に敗れたが、高橋が3位に終わった2018年アジア大会の王者。そのときの実力をキープしていれば、要注意の存在である。
Uguev, Zaur(ロシア) | |||||
2018年 | 世界選手権 | ● | 2-7 | ○ | Uguev. Zaur |
Micic, Stevan Andria(米国) | |||||
2013年 | デーブ・シュルツ記念国際大会 | ● | 1-2(0-2,1-0,3-6) | ○ | Micic. Stevan Andria |
Erdenebat, Bekhbayar(モンゴル) | |||||
2021年 | 東京オリンピック世界最終予選 | ○ | 途中棄権、3:00=1-0 | ● | Erdenebat. Bekhbayar |
2017年 | 世界選手権 | ○ | 4Bー4 | ● | Erdenebat. Bekhbayar |
2015年 | 世界選手権 | ● | 1-2 | ○ | Erdenebat. Bekhbayar |
Sanayev, Nurislam(カザフスタン) | |||||
2020年 | アジア選手権 | ○ | 14-5 | ● | Sanayev. Nurislam |
Kumar, Ravi(インド) | |||||
2020年 | アジア選手権 | ● | 5-14 | ○ | Kumar. Ravi |
2019年 | 世界選手権 | ● | 1-6 | ○ | Kumar. Ravi |
2019年 | アジア選手権 | ○ | 5-3 | ● | Kumar. Ravi |
Gilman, Thomas(米国) | |||||
2018年 | ワールドカップ | ○ | 4-1 | ● | Gilman. Thomas |
2017年 | 世界選手権 | ○ | 6-0 | ● | Gilman. Thomas |
Atranagharchi, Reza Ahmadali(イラン) | |||||
2017年 | アジア選手権 | ○ | 5-2 | ● | Atranagharchi. Reza Ahmadali |
2016年 | ゴールデンGP決勝大会 | ○ | Tフォール、5:18=10-0 | ● | Atrinagharchi. Reza Ahmadali |