※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【アルマトイ(カザフスタン)、文・撮影=布施鋼治】決戦まであと2日-。カザフスタン・アルマトイで行なわれる東京オリンピック・アジア予選に向け、男子グレコローマン・チームは4月7日、現地で調整に励んだ。
当地でのチームは、ホテルと練習場所に行く以外の行動が制限される“バブル生活”を強いられているが、この日の練習場所であるドースティック・スポーツセンターは宿泊先のホテルから歩いて10分ほどの距離。選手は、前日現地入りした男子フリースタイルや女子のチームとともに徒歩で移動した。
このスポーツセンターは、カザフスタンが旧ソ連に属している頃に建築された建物で、格闘技や武道の練習施設として知られている。レスリング場は二つ。そのうちのひとつを台湾チームと分ける形で汗を流した。
東京オリンピックに向け出場枠を取る大きなチャンスなだけに、男子グレコローマンの松本慎吾監督(日体大教)のゲキも、いつになく気合が入っているように思えた。
「海外の選手とはずっとやっていないので、どこまでできるのか。そして限られた環境の中でやってきたことが、どこまで通用するのか。直前まで、やるべきことはやってきた。ひとつでもふたつでも出場権を獲得できるように頑張りたい」
出場する選手たちの調整もそれぞれ順調。67㎏級代表の高橋昭五(神明精肉店)は気持ちが入りすぎ、練習パートナーと必要以上にやり合う場面も。笹本睦コーチ(日本オリンピック委員会)が慌てて止めに入った。
「高橋はああいう性格(短気)。それでも大会に向け、気持ちは保っている。気持ちが折れてしまったら声も出ないし、行動にも移せない。きつい中でやるべきことはしっかりできていると思う」(松本監督)
各代表への松本監督のコメントは以下の通り。まず高橋昭五。
「67㎏は、アジアからまだひとつも枠を取っていない。勝って実力を示すことが、そのまま東京オリンピックでのメダル獲得につながる。目の前のことだけではなく、本戦に備えてしっかりと結果を残してもらいたい」
減量のせいかシャープな面持ちが印象的だった77㎏級の屋比久翔平(77kg級=ALSOK)は?
「77㎏級はどうしても韓国の選手(キム・ヒョンウ=金炫雨)の実力が抜きん出ている。年はとっているけど、キャリアはある。屋比久はまだ若いけど、自分の力を出して切って勝ち切りたい。髙橋と同様、勝つことでオリンピックでのメダル獲得につながっていくと思う」
軍手姿で調整していた姿が印象的だった87㎏級の角雅人(87kg級=自衛隊)は?
「僕自身が現役時代、この階級で闘っていたので思い入れのある階級。アジア予選が出場枠を一番取りやすいし、狙いやすい大会。ここでしっかり勝ち上がってもらいたい」
この日、気合もろとも勢いのあるがぶり返しを連発していた奈良勇太(97kg級=警視庁)は?
「67㎏級同様、アジアではどこも枠を取っていない。横一線の中で、奈良はふたつは強い国を倒さないといけない。得意な形、スタンドにおいては首投げ、グラウンドにおいてはがぶり返し。着実に4点、もしくは2点というポイントをとることが勝ちにつなげる試合になる」
前回のリオデジャネイロに続いて予選に臨む園田新(130kg級=ALSOK)は?
「この階級はしのぎ合いになると思う。最後の最後まで気持ちを切らさないことが重要。目の前の1点、目の前の勝利に強い気持ちを持って臨んでもらいたい」
すでに東京への出場切符を手にした60㎏級の文田健一郎(ミキハウス)に続け!