※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)
11月24日、東京・駒沢体育館で行なわれた東日本学生選手権第1日の女子76㎏級で、鏡優翔(東洋大)が決勝で長島水城(大東大)を12-2で破り優勝した。
「今年2月のクリッパン国際大会(スウェーデン)以来、約10ヶ月ぶりの試合でした」
新型コロナウイルスの影響で出場を予定していた大会はことごとく中止に。今大会は大学生になってから初めての試合となった。鏡は「モチベーションを上げるのが結構大変だった」と振り返る。
「試合がない期間だからこそ、『少しでも強くなっていなければならない』と自分に言い聞かせながらやっていました」
非常事態宣言などでマット練習ができない期間は栃木県の自宅で自主トレに励んだ。「法大でレスリングをやっていた兄(鏡隼翔)がたまに実家に帰ってきたりしたので、一緒に組み手をやったりしていました」
大学生になってからは、大学での練習とともに古巣であるJOCエリートアカデミーでも汗を流してきた。「(高校時代と比べると)練習量がちょっと少なくなることもあるので、そうならないように自分で練習量を考え、アカデミーに行かせてもらっています」
進学先として東洋大を選んだ理由もふるっている。「大学がアカデミーに近いということが大きかったと思う。大学生になると気が緩みがちになるけど、アカデミーに近いと、そうはならないと思って選びました」
同大学レスリング部は女子の部員数が少ないが、男子部員は多い。本来ならばデメリットになるかもしれないが、鏡はメリットとしてとらえている。「自分は(男子の)軽量級の選手とよく練習しています。軽量級でも男子ならパワーがある。おかげで、視野の広いレスリングができるようになったと思う」
大会がない期間中はウエートトレーニングにも重点的に取り組んだ。「おかげで、(同じ階級の選手に)パワーでは負けないんじゃないか、と思っています。私のレスリングの持ち味はスピードだと思うけど、試合ではまだ出し切れていない。体力面を充実させることで、今後はスピードで勝負していきたい」
次の大会は12月の全日本選手権を予定している。一昨年の同選手権では72㎏級で優勝したが、昨年は東京オリンピック出場を目指して68㎏級にエントリーし、初戦で土性沙羅(東新住建)に敗れた。今後はオリンピック階級である76㎏級に腰を落ち着けるつもりだ。
「この階級でどんどん勝っていって、最重量級のトップに立てるようになりたい」
心はアカデミーとともに-。東京オリンピック後は“ポスト皆川博恵”の座に収まるか。