※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
フリースタイルに遅れ、1950年代後半から始まった日本の男子グレコローマン。そのため、フリースタイルに比べると世界選手権、オリンピックともメダルの数は少ない。その中で、2度の世界一に輝いたのが市口政光(オリンピック1、世界選手権1)と文田健一郎(世界選手権2)の2人。
市口は1960年ローマ・オリンピックと1961年世界選手権で上位進出を逃したあと、1962年世界選手権と1964年東京オリンピックの優勝。文田は2017年世界選手権で世界大会初出場初優勝を遂げ、2019年大会にも優勝。現段階で世界選手権10戦全勝だ。
オリンピックと世界選手権を合わせたメダルの数なら、宮原厚次が「金1(オリンピック1)・銀2(オリンピック1)・銅1」、藤本英男が「金1・銀1(オリンピック1)・銅2」で4個獲得しており、最高となる。男子フリースタイルを合わせても歴代3位タイの記録。
藤本は1968年メキシコ・オリンピックと1970・71年世界選手権で無敗だった。当時は「引き分け」というルールがあり、バッドマーク・システムという複雑な減点方式で順位が決まっていた。1970年世界選手権は6戦全勝で優勝だったが、1968年メキシコ大会と1971年世界選手権は、ともに2引き分けが響き、黒星なしながら2位と3位に終わっていた。
1972年ミュンヘン・オリンピックは、最終の6回戦でポーランド選手に敗れて4位に終わった。5回戦までは1引き分けをはさんで3連勝し(4回戦はBYE)、メキシコ大会の1回戦から数えると、世界大会では5引き分けをはさんで17連勝(注=通常、「連勝記録」は引き分けをはさんでも継続とされる)。金メダルの数では市口、文田に劣るが、日本グレコローマンの最高成績と考えていいのかもしれない。
オリンピック&世界選手権のメダル獲得上位選手、世界選手権のメダル獲得選手は下記の通り。
※カッコ内はオリンピック
No. | 選 手 名 | 金 | 銀 | 銅 | 合 計 |
1 | 市口政光 | 2(1) | 2 | ||
〃 | 文田健一郎 | 2 | 2 | ||
3 | 宮原厚次 | 1(1) | 2(1) | 1 | 4 |
4 | 藤本英男 | 1 | 1(1) | 2 | 4 |
5 | 江藤正基 | 1 | 1(1) | 2 | |
〃 | 太田 忍 | 1 | 1(1) | 2 | |
7 | 花原 勉 | 1(1) | 1 | 2 | |
8 | 宗村宗二 | 1(1) | 1 | ||
9 | 平山紘一郎 | 1(1) | 1(1) | 2 | |
〃 | 松本隆太郎 | 1 | 1(1) | 2 |
No. | 選 手 名 | 金 | 銀 | 銅 | 合 計 |
1 | 文田健一郎 | 2 | 2 | ||
2 | 藤本英男 | 1 | 2 | 3 | |
3 | 市口政光 | 1 | 1 | ||
〃 | 江藤正基 | 1 | 1 | ||
〃 | 太田 忍 | 1 | 1 | ||
6 | 宮原厚次 | 1 | 1 | 2 | |
7 | 桜間幸二 | 1 | 1 | ||
〃 | 杉山三郎 | 1 | 1 | ||
〃 | 柏木 究 | 1 | 1 | ||
〃 | 嘉戸 洋 | 1 | 1 | ||
〃 | 笹本 睦 | 1 | 1 | ||
〃 | 松本隆太郎 | 1 | 1 | ||
13 | 田上 高 | 2 | 2 | ||
14 | 朝倉利夫 | 1 | 1 | ||
〃 | 蛯名康一 | 1 | 1 | ||
〃 | 花原 勉 | 1 | 1 | ||
〃 | 西口茂樹 | 1 | 1 | ||
〃 | 小川翔太 | 1 | 1 | ||
〃 | 佐々木文和 | 1 | 1 | ||
合 計 | 6 | 7 | 11 | 24 |