※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際オリンピック委員会(IOC)は7月13日までに、ホームページの「結果」で、2012年ロンドン・オリンピックの男子フリースタイル120kg級で1位だったアルトゥール・タイマゾフ(ウズベキスタン)と2位のダビッド・モズマナシビリ(ジョージア)の成績をドーピング違反によって剥奪し、3位だったバイリャル・マホフ(ロシア)とコメイル・ガセミ(イラン)の2選手を金メダルに繰り上げる結果を掲載した。
銅メダルには5位だったダウレット・シャバンベイ(カザフスタン)とテルベル・ドラグネフ(米国)が繰り上がり、以下、2位ずつ順位が繰り上がった。日本はこの階級には出場していない。
オリンピックのレスリング史上、決勝で両選手が疲労のため闘えなくなり、2選手が銀メダルとなったことはあるが(1912年=当時は時間無制限)、2選手が金メダルとなったのは初めてのこと。
イラン協会によると、UWWには上位2選手が失格になった場合の順位決定方法の規定はなかったが、今年3月にルールを修正し、そうしたケースでは3位の2選手が金メダルを獲得するルールができたという。(下記ルールのP17)
https://unitedworldwrestling.org/sites/default/files/2020-03/wrestling_rules.pdf
IOCと世界アンチドーピング機構(WADA)は、2008年北京大会と2012年ロンドン大会で保存していた検体を最新技術によって再検査し、多くの競技で違反選手を摘発していた。2018年1月にモズマナシビリが、7月にタイマゾフが、それぞれ禁止薬物に陽性反応を示し、メダルの剥奪が発表された。
国際スポーツ仲裁機構(CAS)へ訴えた場合、正式な結論はCASの結果が出たあとが慣例だった。結果が出たようで、イラン協会は今月初め、世界レスリング連盟(UWW)に対してガセミの金メダルを認めるよう書面でリクエストしていた。
現段階で世界レスリング連盟(UWW)からの発表はないが、IOCが発表した以上、近日中に発表するものと思われる。ロシア協会はホームページでマホフの金メダルへの繰り上がりを報じている。
タイマゾフは、ロンドン大会で3個目の金メダルを獲得し、男子で3人目のオリンピック3連覇達成選手だった。2017年4月に2008年北京大会のドーピング違反が発覚し、同年12月にCASもこれを認定。金メダルを剥奪された。今回の剥奪により、オリンピック3連覇のはずだったが、2個の金メダルが無効となった。