※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
オリンピックの日本代表選手の大会別の平均年齢を調べてみると、戦後初参加の1952年ヘルシンキ大会は「23.4歳」(男子フリースタイルのみ)だったのが、2012年ロンドン大会では3スタイルで「28.3歳」、2016年リオデジャネイロ大会は3スタイルで「25.7歳」と、かなり高齢化した。
以前は、「試合時間(5分×2、または3分×3など)が長く、ベテランはばててしまう」「早朝の計量が3日、4日と続くのでベテランは体がもたない」などの理由のほか、高度経済成長の下、社会に出てレスリングに専念できるところはあまりないという社会情勢もあった。選手生活を続けても、30歳前には第一線を退く場合が多かった。
1984年ロサンゼルス大会から試合時間が3分×2と短縮。1988年ソウル大会から前日計量が実施され、1996年アトランタ大会からは前日の1回計量。2004年アテネ大会からは、1日で1回戦から決勝までを実施と、ルールが変更されていった。30歳を超えてもオリンピックを目指す選手が増えていった。
社会が豊かになり、企業によるスポーツへの参加が活発になったことも“高齢選手”を後押しした。「早朝の連日計量・2日間試合」となった今後は、どう変わっていくか。
女子は2004年アテネ大会の代表選手、またはそれまでの世界チャンピオンが頑張って世代交代を許さず、2012年ロンドン大会は「31.1歳」を記録。3大会連続でメンバーがほとんど変わらないことに、オリンピック種目として懐疑的な声も挙がったが、4年後は約5歳若返る“新陳代謝”が行われた。
東京オリンピック代表に内定している女子5選手の今年8月2日(本来ならレスリング競技が始まる日)での平均年齢は「26.1歳」。大幅に若返ってはいないものの、世代交代はしっかり行われている。
戦後のオリンピックの大会別の平均年齢は下記の通り。
年 | 全スタイル | 男子フリースタイル | 男子グレコローマン | 女 子 | ||||
人数 | 平均年齢 | 人数 | 平均年齢 | 人数 | 平均年齢 | 人数 | 平均年齢 | |
2016年 | 10 | 25.7歳 | 2 | 23.9歳 | 2 | 25.8歳 | 6 | 26.3歳 |
2012年 | 13 | 28.3歳 | 5 | 26.6歳 | 4 | 27.8歳 | 4 | 31.1歳 |
2008年 | 10 | 27.7歳 | 3 | 26.9歳 | 3 | 29.7歳 | 4 | 26.9歳 |
2004年 | 13 | 26.4歳 | 5 | 27.8歳 | 4 | 28.0歳 | 4 | 22.9歳 |
2000年 | 8 | 27.0歳 | 4 | 26.6歳 | 4 | 27.4歳 | ||
1996年 | 12 | 26.7歳 | 6 | 25.8歳 | 6 | 27.7歳 | ||
1992年 | 16 | 27.7歳 | 9 | 28.3歳 | 7 | 26.9歳 | ||
1988年 | 20 | 26.0歳 | 10 | 25.1歳 | 10 | 26.9歳 | ||
1984年 | 20 | 26.0歳 | 10 | 25.2歳 | 10 | 26.7歳 | ||
1980年 | 20 | 24.9歳 | 10 | 25.1歳 | 10 | 24.7歳 | ||
1976年 | 20 | 24.9歳 | 10 | 23.8歳 | 10 | 26.0歳 | ||
1972年 | 20 | 24.4歳 | 10 | 24.5歳 | 10 | 24.3歳 | ||
1968年 | 16 | 25.3歳 | 8 | 25.5歳 | 8 | 25.2歳 | ||
1964年 | 16 | 24.1歳 | 8 | 23.0歳 | 8 | 25.2歳 | ||
1960年 | 16 | 24.3歳 | 8 | 24.5歳 | 8 | 24.1歳 | ||
1956年 | 8 | 23.1歳 | 8 | 23.1歳 | ||||
1952年 | 5 | 23.4歳 | 5 | 23.4歳 |