※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(2019年9月17日、カザフスタン・ヌルスルタン / 取材=布施鋼治、松本一葉)
■男子グレコローマン60kg級優勝・文田健一郎(ミキハウス=昨年の世界王者を破って2年ぶりに世界王者へ)「きのう、(オリンピック出場枠を獲得して)スタートラインに立ったことを実感し、今日はいかにスタートダッシュというか、一歩目を試そうと思った。すごくいいスタートが切れた。オリンピックまで1年かかるレースで、これからの道のりがすごいけど、いい一歩目が踏み出せたなと思います。
きのうは、勝ちにこだわる中で、より安定して勝ちにいく闘いだった。今日は肩の荷も降りたので、思い切って攻めに行こうって心がけて試合ができました。
2017年の優勝は、もちろんすごくうれしかったんですけど、勢いというか波に乗っている中での勝ちだった。今回はひとつひとつ細かく、ていねいに優勝を目指して作り上げてきたので、より達成感が大きいですね。作り上げてきたものが形になってきた感じです。
相手はローリングがうまいことは知っていました。試合前に(太田)忍先輩が直々にかけてくれました。『ここはこう切れ』『ここで止まったらダメだ』みたいことをすごく細かくアドバイスしてくれました。そのあと、『はい(指導料として)50万円!』と言われたんですけど、50万円の価値はあったと思います。この勝ちでチャラにしてもらおうと思いますけど。
投げたい、という自分がいます。今回、投げはそうそうかからないことを痛感しましたが、グラウンドかかったからいいや、ではなく、投げにこだわっていけば、自分の別の良さも引っ張り出せると思います。今回、投げにこだわったからこそローリングも生きた。もっともっと投げにこだわって、もっと世界に通用する技を身につけていきたいなと思います。
世界で通用する技をもっと増やさないと、どんどん置いてかれてしまう。どんどん先に行かれてしまうので、逆に言えば、あと1年あるのでさらに使える技を増やして、投げを軸にした自分のレスリングを広範囲で展開できるようなスタイルを身につけていきたいと思います」