※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
吉田沙保里選手の引退表明に関し、日本協会・福田富昭会長のコメントは下記の通り。
吉田選手は日本の女子オリンピック金メダリストの第1号選手で、日本で女子を始めた私の20年目の悲願を達成してくれた選手です。長い間、女子レスリングを支えてくれたことに、深く感謝するとともに、ご苦労様と伝えたい。
オリンピック3連覇、16度の世界一(オリンピック・世界選手権)、アジア大会4連覇、国内外119連勝、個人戦206連勝…。吉田選手の快挙を挙げればきりがありません。日本の女子レスリングがメジャーと呼べる存在となったのは、吉田選手の尽力が大きかったことは、だれもが認めるところです。
マット上のことだけではありません。2013年2月、レスリングは国際オリンピック委員会(IOC)から2020年大会の除外候補に指名され、これを復活させるため世界レスリング界が一致団結して復活を勝ち取りましたが、ここでも大きな力を発揮してくれたのが、吉田選手でした。
集まった復活嘆願署名は約94万人。オリンピック3連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した吉田選手のネームバリューが、全国民の関心を引き起こしてくれたのだと思います。
同年5月、ロシア・サンクトペテルブルグで行われたIOC理事会には、3個のオリンピック金メダルを持って私に同行、多くの理事に対してロビー活動を展開してくれました。この時、実は2週間後に世界選手権の予選が控えており、外国へ行っている状況ではなかったのです。レスリング界の“歴史的危機”の前に、嫌な顔ひとつせずに行ってくれたのです。その姿勢には、感謝してもしきれないことでした。
今後は、後進を育て、いい指導者として日本の女子レスリングの伝統をつなげてくれることを望みます。