※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
全日本選手権の1、2位選手を中心とした男子グレコローマンの全日本チームが12月30日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで、新チームとなって初の合宿をスタートした。この日はミーティングのみで、元旦を経て1月3日まで行われる。
日本協会の恒例として、オリンピック・イヤーを迎えるにあたって2年合宿をやってきたが、その前年に全日本チームで合宿をやったのは例がない。松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長(日体大教)は「来年、オリンピック予選が始まる。その意識と強化のため実施した。工夫しながら強化につながる合宿にしたい」と合宿の目的を説明した。
激戦から1週間で、けがや体の疲れも残っていると思われるが、その中でも実行するのは、気持ちの問題のみならず、「強化の時間が足りないのが現状。時間を無駄にしたくない」との思いからだという。
初詣など正月ならではの“儀式”はなく、強化に特化した合宿となるが、この日のほか、1コマだけ「グループワーク」という座学がある。グループに分かれてレスリングに関連したテーマを論じ、発表してもらう予定。「プレゼン能力を養ってもらう」と、社会で通じる人材育成のメニューも取り入れた。
ミーティングの冒頭、西口茂樹・強化本部長が「強化のための合宿。全日本選手権での試合を振り返り、自分でやるべきことを見つけて練習するように。負けたから駄目ではない。負けたからこそ反省が出てくる。6階級すべてでオリンピックに行く」と、赤石光生・副本部長も「人から言われてやるのではなく、自分で考えて強化に励んでください」と、それぞれあいさつ。
続いて、松本委員長と同期で、ミュージシャンやタレント業などマルチの分野で活躍している拓大・須藤元気監督の講義が行われた。須藤監督は拓大でレスリングをやっていて、世界ジュニア選手権にも出場。そのあとプロ格闘技の世界に進んだ。
プロ格闘家になるために計画を練って強い気持ちを持ったことや、ヘビー級全盛の中で目立つために努力したことなど、自身の工夫談を披露。「イメージが現実をつくる」と話し、「そうなるんだ」と思うことの重要性を説いた。金メダルを目指すなら、「すべて金メダリストとしての行動をすることが大事」と言う。
現在は英会話に打ち込んでおり、ほとんど話せない状況から約1年の勉強でToeicのテストで830点をマーク(東大生の平均は688点と言われる)。これも、最初から「無理だ」と思わず、計画を練って、強い意志をもって実行したことよって達成できたものだそうで、英会話上達の秘訣も伝授。
全体を通じて、思考(こうなると思うこと)、言葉(口に出して明確に思うこと)、経験(実行すること)を変えることで「人生が変わる」と訴え、「人の悪口はやめましょう。自分に返ってきます」と伝えた。
31日からマットワークが始まる。
※本合宿は競技力向上事業の助成を受けています。