※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
最後のJOCジュニアオリンピックカップで悲願の優勝! ジュニアの男子フリースタイル74kg級は三輪優翔(日体大)が決勝で昨年の全日本大学選手権70kg級2位の梅林太朗(早大)を破って初優勝を決めた。
階級区分の変更に加えて計量方法まで変わったため、各階級の勢力図もそれぞれ変わった。三輪は高校時代は66kg級、大学進学後は70kg級を中心に闘い、昨年12月の全日本選手権は3位に入賞した。
将来を見据えてオリンピック階級の74kg級にシフトチェンジ。その初舞台では、反対ブロックには過去5回対戦して1度しか勝ったことがないという相性の悪い梅林の名前があった。
試合は、パワーが売りの梅林に対して三輪は持ち味のスピードで応酬。「たまたま技のタイミングが合った」と謙遜したが、試合巧者の三輪が最後は3-2で勝利。世界ジュニア選手権の代表を内定させた。
2年前の高校3年時(2016年)は、同学年で敵なしの強さを誇った。高校三冠王者となり、全日本選手権では高校生ながら70kg級で3位入賞の快挙を達成した。期待を膨らませて日体大に進学したが、大学1年で味わったのは挫折だった。「先輩たちが強くて歯が立たなかった」と、高校生と大学生のレベルの差を痛感した。
新人選手権で1度優勝するものの、学生の大会で大きな結果は残せなかった。「(心を)折られて、自分が弱いことを実感しましたね」。自分を見つめ直し、もがき苦しんだ1年間だったが、このJOC杯優勝を突破口としたいところだ。
日体大には文田健一郎や樋口黎など学生時代に世界で結果を残した選手が大勢いる。先輩たちの背中を見ていた三輪も「(今年は)上を目指したい」ときっぱり口にした。幸い、新階級や連日の計量方法は「ちょうどいい」と三輪には追い風。きつい減量がなく、100パーセントの力を出せるようになったそうだ。
74kg級は、オリンピアンの高谷惣亮(ALSOK)が階級を上げて抜けた一方、昨年70kg級で世界3位になった藤波勇飛(山梨学院大)が階級アップして全日本王者となった。「藤波さんは強く、世界でも勝っている人。その人を超えたら、僕も世界で勝てるようになるかな。それを目標に頑張りたいです」-。