※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
日本開催の女子ワールドカップが終了し、世界レスリング連盟(UWW)主催による世界合宿が3月20日、東京・味の素トレーニングセンターでスタート。モンゴルを除くワールドカップ出場国を含めて20ヶ国から約150選手が参加し、実力アップをはかった。練習は午前、午後ともにマットワークが予定されている。
外国選手は、練習・食事・宿泊が同じ場所にある味の素トレーニングセンターの施設に驚いていたという。ワールドカップに参加した国は、大会の運営や盛り上がり、マスコミの多さなどにも舌を巻いており、女子レスリングのリーダーたる国の威厳を示した形となった。
オリンピックや世界選手権で金メダルを量産する日本には、多くの国から練習に参加したいというオファーがある。最近では2013年12月に中国などアジア3ヶ国が参加した合宿や、2015年1月にハンガリーなど5ヶ国が参加した合宿などを実施。2015年夏にはブラジルから選手を何度か受け入れ、“虎の穴”(十日町の桜花レスリング道場)での練習にも参加させたりしている。
いずれも日本協会による合宿。今回はUWWが世界の女子のレベル向上を目指して主催した第1回の合宿であり、参加国はオセアニア(ニュージーランド、グアム)、アフリカ(エジプト)を含めて5大陸から集った。この合宿のため、当初、この時期にロシアで予定されていた欧州選手権の日程を約1ヶ月ずらした。UWWの女子の普及発展へ向けた姿勢と言えよう。
UWWの富山英明理事は「いい雰囲気。技術交流による実力アップも大事だが、こうした合宿を経験することによる国と国との交流が、それぞれの国にとって大きな財産となり、還元されると思う。年に1度はこうした合宿が必要だと思う」と言う。
ワールドカップで日本を指揮した笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)は「外国選手は、手足が長く体力のある選手が多い。技術を教えるとすぐに実力をつけそうで、ちょっと怖い感じがしますね」と苦笑い。強化の奥の手(なるものがあるかどうか分からないが…)はシークレットといったところ。短期間の合宿にもかかわらず多くの国が来日してきたことに、日本の置かれている立場を痛感したという。
それでも「選手は楽しくやっています。普及・交流という観点からして必要なこと。しっかりやりたい」と、20ヶ国参加の合宿への思いを話した。合宿は24日まで行われる。(写真=一部チーム提供)
《参加国=順不同》カナダ、中国、米国、ベラルーシ、スウェーデン、ルーマニア(以上、ワールドカップ参加国)、フィンランド、オーストリア、ノルウェー、エジプト、台湾、ギリシャ、ウクライナ、グアム、エストニア、ニュージーランド、スペイン、オランダ、ハンガリー
※本合宿は競技力向上事業の助成を受けています。
苦しさの中にも、笑顔も出る世界合宿