※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子)
クナエフ国際大会(カザフスタン)に出場した男子フリースタイルの重量級4選手の日本チームが11月29日、ソウル経由で成田空港に帰国した。97kg級の赤熊猶弥(自衛隊)が銅メダルを獲得し、階級アップしてから初めて国際大会でメダルを手にする成績だった。
メダルを持ち帰った赤熊だが、表情は引き締まったまま。「メダル獲得という点では最低限の目標は達成できたけど、3試合とも内容がよくなかった。今までの課題だったタックルに入ってからの処理というのもまだまだだし、自分から攻めることができず、3位決定戦ではリードしているときに守ってしまって場外ポイントを取られ、同点で勝つ危ない試合だった。新しい課題が見つかった」と反省しきり。
この遠征に向けて、「あまり自信はなかった」とのこと。実際に試合をしてみて、「接戦となった時に勝てたというか、押し負けなかったのは成長だと思う」とプラス面もあった。「東京オリンピックへ向けて徐々に?」との問いに、「そこまで先ではなく、来年の世界選手権に間に合うように課題を克服したい。天皇杯(全日本選手権)は得意技を出して優勝したい」と話した。
メダルは97kg級の赤熊の銅メダルのみだったが、他の選手にとっても有意義な遠征になったもよう。湯元進一監督(自衛隊)は「結果から言えば、世界はまだまだ遠いと感じたが、海外で合宿と試合ができるという貴重な経験をさせることができ、一同ありがたく思っています」と感謝の言葉。
4選手とも技術では劣らないこと分かった。125kg級の荒木田進謙(青森県協会)は、差してから引き落とすテクニックが効いていた。赤熊はいいタックルでポイントをとることができた。体力差で返されることはあったが、タックルの技術ではあの中では一番だったと思う」と話し、重量級も技術では劣らない日本レスリングに光明も見いだした。
課題としては、「技術だけでは世界に追いつけないとも感じました。圧力でやられ、技術を活かしきれていない。それでは意味がない。軽量級と違い、そういったことで自信がないというのも要因と思う」と言い、世界のレベルに食い込むのに必要なものはやはり体力レベル向上のようだ。
体力を強化し、磨いた技術を活かし切ったとすれば「東京オリンピックに97kg級も125kg級も必ず出場できる」-。この遠征の報告を強化委員会に伝え、今後の強化策を練るとのことで、予選終了まで残り2年数ヶ月、オリンピックの全階級出場に向けて全力で駆ける。