※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
U-23世界選手権(ポーランド)で行なわれたU-23世界選手権に出場した女子チームが11月26日、成田空港着の日本航空で帰国した。6階級を制し、国別対抗得点でも優勝と、シニア、ジュニア、カデットに勝るとも劣らない成績。この世代でも日本の強さをアピールしての帰国だった。
金浜良監督(ジャパンビバレッジ)は「苦しい試合もあったけど、逆転で最後は勝ってくれた試合が多かった。ラスト15秒を切ってからの逆転勝ちもあった。ふだんの合宿でやっている『最後まであきらめずに闘う』という成果が出たと思う」と振り返った。だれかが粘りの逆転勝ちをやると、「他も同じような気持ちになり、粘れたようだ」と、プラスの連鎖反応も勝因に挙げた。
“あきらめない気持ち”を勝利につなげられるのは、「体力の裏付けがあるから」と言う。ハードトレーニングからくる強じんな体力があるからこそできるのであり、「スタミナと、そこからくる粘りは日本人の特徴であり、最高の技。勝つためには体力が必要なことを、これからの選手も学んでほしい」と話した。
齊藤将士コーチ(警視庁)は「実力通りに好成績を挙げることができた。スタミナや手や足の使い方など日本選手のいいところが出た。これからも伸ばしていってほしい。最も必要なことは精神力。さらに強い心を持ってシニアの世界に挑んでほしい」と話した。
U-23の世界の情勢を見てくるのも、今回の遠征の目的だった。他の世代と同じで日本の実力が飛び抜けているのは間違いなかったが、ウクライナ、ベラルーシなどが、独特の動きで気迫に満ちた闘いをしてきたという。「対策が必要になってくると思う」と話し、世界一を証明できても研究は怠らない姿勢を見せた。
60kg級で優勝した坂野結衣主将(警視庁)は「第1回大会で団体優勝できたのはよかった。自分は、U-23は最初で最後の大会になるので、このチャンスを逃したくなかった。その気持ちがあったから優勝できたと思う」と、主将としても個人としても満足の様子。
ただ、目標のひとつだったデーブ・シュルツ国際大会(米国)で負けた米国選手へのリベンジは、結果として勝ったものの、「技術点が取れなかったので…」と、内容に不満は残るようだ。しかし、ラスト45秒でアクティビティータイムを課せられ、ポイントが取れなければ逆転負けが濃厚となる状況で、場外ポイントとはいえ攻めてポイントを取れたことには満足そう。「気持ちで取った1点でした」と振り返った。
昨年、非オリンピック階級の世界選手権(ハンガリー)に出場したものの、通常の世界選手権への出場はなく、これからが本格的な世界への挑戦。そのステップとして大きなきっかけとなると思われるが、「国内で勝たないと世界へ行けません。(世界への飛躍の前に)国内大会を勝ち抜くことに全力を尽くさないとなりません」と、息つく間もなく来月の全日本選手権へ向けて全力を尽くすことを誓った。