※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブィドゴシュチュ(ポーランド)】今年に入って国際大会で優勝を重ねていた男子グレコローマン59kg級の河名真寿斗(クリナップ)が第1回U-23世界選手権で優勝。8月のシニアの世界選手権(フランス)に続き、軽量級の日本の強さをアピールした。
豊田雅俊監督(警視庁)は「最初(初戦や2回戦)の動きは悪かったですけど、持ち前の粘りを発揮し、決勝も逆転勝利で頑張ってくれた」と河名の頑張りを評価。「59kgはシニアでも金メダルを取っています。この階級の国内のトップ選手は、世界のトップレベルということを感じ取ってくれたと思います」と話し、この流れに乗って軽量級の“制圧”を目指す。
しかし、他の7階級でメダルに手が届かなかったのは、世界選手権と同じ。「他の選手も良いところは出せているんですけど、決めなければいけないところで決め切れていない。その点を詰めて強化していきたい」と、世界選手権と同じ反省も残った。
もっとも、130kg級で園田新(ALSOK)がゴールデンGP決勝大会優勝のアゼルバイジャン選手を破って3位決定戦に進むなど、メダル獲得にはつながらなかったが、進歩はあった。「今まで取り組んできていることが十分にできている。レスリング勘はしっかりとできてきているので、体力面をつけていけば勝てると思うので、しっかりと強化していきたい」と話した。
笹本睦コーチ(日本協会アシスタントコーチ)は「金メダルをひとつ取れたのは目標どおりでよかったけれど、全体を通してポイントが取れていない。ポイントを取って攻めるレスリングがまだできていないことを感じました」と、河名以外の選手の闘いには満足していない。
園田についても「3位決定戦は十分に勝てた相手だった」と欲の深いところを見せ、「世界選手権のメンバーも数人出場しているけれど、そこでも勝てていない。しっかりと強化して、まず来年のアジア大会(8月、インドネシア)で勝てるようにしていきたい」と前を向いた。
全日本チームの遠征に初参加の斎川哲克コーチ(栃木・足利工高教)も「シニアの大会に出場している選手が意外に少なく、グレコローマンの強豪国で参加していない国もあった」と大会を分析。「同世代間における世界の自分のポジションを把握し、何が足りないかを見つけ、ひとつひとつ、つぶしていかないと東京オリンピックには間に合わない」と厳しく振り返った。
(取材・撮影=矢吹建夫、構成=樋口郁夫)