※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
U-23世界選手権と全日本選手権を目指して合宿スタートの男子グレコローマン・チーム
U-23世界選手権(11月22~27日、ポーランド)へ向けての調整と全体の底上げを目指した男子グレコローマンの全日本合宿が11月13日、東京・味の素トレーニングセンターで始まった。
松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長(日体大教)は、U-23世界選手権について「結果を求めます。国際大会ひとつひとつに結果を残していかないと、次につながらない」と話す。社会人選抜チームの米国遠征(デーブ・シュルツ記念国際大会)では3選手が金メダルを取るなど活躍したが、「そういう結果が増えれば増えるほど、東京オリンピックの金メダルにつながる。結果を出した選手が多くいる中での合宿でレベルが上がっていく」と言う。
U-23に出場しない選手にとっても、新階級・新ルールで実施される全日本選手権(12月20~23日、東京・駒沢体育館)がすぐにやってくるので、「意識を高くもってやってほしい」と望んだ。
世界王者を破り、一躍“時の人”となった下山田培(警視庁)は負傷のため、体力トレーニングに専念
デーブ・シュルツ記念国際大会では67kg級に出場した下山田培(警視庁)が現役の世界王者を破る殊勲を上げた。同委員長は「同じところで練習している選手がやれば、『オレもできる』と思うもの。選手の活力になります。その勢いが、上の階級(重量級)に伝わっていってほしい」と話し、波及効果を期待した。
来年1月からルールが変わるが、この大会は現行ルールで行なわれる。やや中途半端な状態での大会となるが、「適応する強さも必要。ルールが変わったり、連戦など、どんな環境でも結果を出せる選手を求めたい。そうでなければ、ルールが変わったら勝ち抜けないし、普通以上にプレッシャーがかかる東京オリンピックで勝つことはできない」と厳しく話した。
練習の最後には、代表選手1人ずつに大会の目標を大声で宣言させた。現実的な目標ということで、全員が「優勝」ではなかったが、「各自の決めた目標に向かって、全力を尽くしてほしい」と期待した。
8月のシニアの世界選手権(フランス)に続いての世界大会出場となる98kg級の奈良勇太(日体大)は、9月にもアジア・インドア&マーシャルアーツ大会(トルクメニスタン)に出場し、銅メダルを獲得している。前日まで行なわれていた全日本大学選手権(福井)の出場を辞退し、この大会にかけることにした。
アジア・インドア&マーシャルアーツ大会の好調を維持できるか、奈良勇太(日体大)
「大会が続くと調整不足になることもある。チームには申し訳なかったけど、専門外のフリースタイルは辞退させてもらいました」。日体大監督でもある松本委員長も、世界を目指す大学の監督として奈良の気持ちを尊重してくれた。そのためにも頑張らねばなるまい。
アジア・インドア&マーシャルアーツ大会では、リオデジャネイロ・オリンピックに出場したインド選手に勝っての3位。優勝したイラン選手にも1-1の内容負けだった。「自信になった。自分も(オリンピックを)目指せるのでは、と思えるようになった」。国際大会でメダルを手にすることで得られるエネルギーを絶大だ。今の自信を倍増させるためにも、メダルを手にしたいところだ。
「どのような選手が出場してくるか正確には分からないけど、世界ジュニア選手権でメダルを取った選手もいて、厳しい大会になると思う。でも海外遠征に多く出させてもらっている。ぜひ結果を出したい」と燃えている。
合宿はU-23代表選手が出発する前日の17日まで行なわれる。