※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
金メダルを含めメダル9個を獲得して帰国した日本チーム
トルクメニスタン・アシガバットで行なわれていたアジア・インドア&マーシャルアーツ大会に出場した日本代表チームが9月28日、羽田空港に帰国した。世界選手権やオリンピックの代表、アジア王者なども参加している中、2~3番手選手を中心としたメンバーで臨んだ日本は、女子で「金1・銀1・銅3」、男子フリースタイルで「銀1・銅1」、男子グレコローマンで「銅2」と、全スタイルでメダルを獲得の結果を残した。
日本では馴染みのない大会であり、国内メディアでも報じられていない。レスリングが実施されるのは4回目にして初めて。しかし、総合大会としての華やかさはアジア大会に匹敵するほどものだったそうで、レスリングが実施された体育館は4面マットが入る大きなアリーナ。
男子グレコローマン・チームの最後のミーティング
男子グレコローマン・松本隆太郎コーチ(日体大職)は「体育館はアジア大会の時より大きく、世界選手権の会場のようだった。動員されたものだと思うが満員に近い観客がいて、あの雰囲気の中で試合をやれたことは、いい経験になったと思う」と振り返った。
男子グレコローマンは、弱点とされている重量級で奈良勇太(日体大)が銅メダルを取るなど学生2選手が3位に食い込む健闘。「宇井(大和=66kg級)は準決勝、残り10秒まで勝っていた。奈良も試合間隔が15分しかない状況で試合をさせられる中で惜敗。両選手とも優勝できる力は示せた」と評価した。
来年からルールが変わり、グラウンドの攻防が加わるが、「基本はスタンドでの闘い。体力をつけ、最後まで押し切る強化を続けつつ、グラウンドで得意技をひとつ身につけさせたい」と話した。
男子フリースタイル・チームのミーティング
一方、男子フリースタイルの前田翔吾コーチ(日本協会アシスタントコーチ/クリナップ)は「全階級でメダルを取らなければならないレベルの大会。物足りない成績」と、銀1・銅1の成績を総括。先月の世界選手権(フランス)では、優勝を含めてまんべんなく好成績を挙げ、国別対抗得点で6位に入る健闘だっただけに、「一番手に伝わっていたことが、今回の選手にまでは伝わっていなかった。底上げできるよう強化方法を見直さないとならない」と厳しく振り返った。
グレコローマンよりメダルひとつの色がいい結果ではあるが、「グレコローマンは学生チーム。こちらは全日本3位レベルの選手を選んでいる」と、結果を出してほしい人選だったことを強調した。今後は「軽量級は初めから攻める体力と気持ちを身につけ、重量級はとにかく体力をつけ、2、3番手選手の底上げをしなければならない」と話した。
3スタイルで唯一優勝選手を輩出した女子だが、齊籐将士コーチ(警視庁)は「全階級でメダル獲得、最低2個の金メダル」の公約を果たせず悔しそうな表情。「中国が一番手選手の派遣。世界選手権の上位入賞選手もいて厳しい闘いだった」と振り返る一方、他国は途上選手の参加が多く、その状況下では不満の残る成績だったようだ。
女子チームのミーティング
その原因は「私の力不足」と言ったあと、「競った時に勝ち切る力が足りなかった。リードしても守りに入らないなど、今後の課題として攻撃する力を身につけさせたい」と振り返った。
そんな中、世界選手権代表の中国選手を破って優勝した53kg級の矢後佑華(警視庁)は「優勝できてよかった。全試合とも自分のレスリングが貫けた」と第一声。中国選手との準決勝はさすがに緊張したそうだが、「若く(17歳=12月で18歳)、世界選手権では上位に入っていないと聞いていたので(初戦敗退)、思い切ってやりました」とのこと。
決勝の相手のカザフスタン選手も、48kg級でリオデジャネイロ・オリンピック5位に入賞し、階級を上げて5月のアジア選手権で2位に入った選手。「初めて闘う選手ですし、気を抜かずにやった」のこと。テクニカルフォールでの圧勝は、矢後の実力がアジア・トップレベルであることを証明したと言えるだろう。
齊籐コーチと金メダル獲得の矢後佑華(ともに警視庁)
日本チームと女子レスリング王国のメンツを守った貴重な優勝だったことに関しては、しばらく考えたあと、「たまたまでしょう」と謙そんした。
本当の勝負はこれから。国際大会では5大会連続優勝だが、昨年12月の全日本選手権と今年6月の全日本選抜選手権はともに3位。全日本レベルの大会ではまだ優勝がない。国内では「知っているメンバー間での闘いになるので、どうしても緊張してしまう」とのこと。
この壁を乗り越えなければ、国内の金メダルは手にできない。「上へ行くために警視庁にお世話になった。結果を出さなければならない。全日本選手権では優勝します」ときっぱり宣言。