※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2年連続で参加した米国「金太郎チーム」
国際大会の布石? 9月24日に静岡・三島市民体育館で行なわれた全日本女子オープン選手権には米国のカリフォルニア州を中心に選抜された中高生11選手が参加した。
静岡県の梅原龍一会長は「将来は国際大会?」の声にまんざらでもなさそうな表情。リオデジャネイロ・オリンピックで見せた日本の強さによって、日本での練習や試合出場を望む国は多い。難関は多いが、地続きの欧州に比べると「国際大会が少ない」と言われる日本。実現すれば、国内の選手のためにもなるので、その方向を目指してほしいものだ。
米国から参加した「金太郎チーム」は、梅原会長のつながりで昨年から参加しているチーム。同会長が20数年前に木口道場の米国遠征に同行し、その時に知り合ったボブ・シャレッツ氏とのパイプで実現した。シャレッツ氏が金太郎に似ていることで「金太郎」と呼ばれるようになり、それをチームの名称にしたという。
引率のトラビス・カーペンター監督はシャレッツ氏の教え子。銅メダル1個という結果に、「選手の質が高く、すばらしい大会です。全米チャンピオン級の選手を連れてきたのですが、かないませんでした。日本の強さは前から知っていて、追いつくことを目標にしていますが…」と、なすすべがないという表情を浮かべた。
参加選手の中には、今年のパンアメリカン・カデット選手権2位の選手もいて、中学44kg級に出場したが、2回戦で今月の世界カデット選手権で優勝した伊藤海(京都・網野町少年教室)に完敗。全米チャンピオン級であっても、日本の強豪とは大きな差があるのが現実だった。
試合を見守るトラビス・カーペンター監督
日本と米国の一番違う点は「米国には若い選手をサポートする組織や体制がないのに対し、日本はそれができていること」だという。まず伝統。日本は多くの世界チャンピオン、オリンピック・チャンピオンが生まれており、若い選手の目標がある。
さらに、この大会にはシニアの部にリオデジャネイロ・オリンピックほか世界を4度制した登坂絵莉(東新住建)や現役世界チャンピオンの奥野春菜(至学館大)が参加しており、多くの選手や指導者がその闘いを見ることができるのに対し、米国では世界チャンピオンと直に接する機会はほとんどないという。
選手のモチベーションの面で大きな違いがあるうえ、技術を正しく教えられる指導者の数も少ない。どうしても体力にまかせたレスリングになり、小学生からレスリングに親しんできて技術や戦術に一日の長のある日本選手に勝てないようだ。
だが、昨年のリオデジャネイロ・オリンピックでヘレン・マルーリスが米国女子初の金メダリストに輝き、今年の世界選手権で圧勝優勝。「選手の目標になっています。マルーリスの存在が大きいです」とのこと。もちろん、日本の世界&オリンピック・チャンピオンも目標とのこと。「どの選手も、一生懸命に努力すれば、日本のチャンピオンのようになれることを知っています」-。
目の前で見た世界チャンピオンの闘いを糧に、米国女子選手の飛躍が期待される。カーペンター監督は「来年も参加したい」と話した。