※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ギリシャ・アテネで始まった世界カデット選手権に出場する女子チームが9月4日、羽田空港発の日本航空で出発した。女子は6日(水)~8日(金)に行われる。
昨年は9階級に出場して8階級で優勝、1階級で銀メダルという好成績。その大勝利を引き出した吉村祥子監督(エステティックTBC)が今年も指揮を執る。昨年並みの成績を目指して威勢のいい声が出てきそうだが、まず口にしたのは「(来年から実施される)2日間の当日計量のテスト大会。初遠征の選手も何人かいる中でやることに不安はある」という言葉だった。
やはり未知の世界に挑む時は、だれもが不安に襲われる。特に試合初日の計量から試合開始までが1時間しかないことが引っ掛かる。第1試合に出る場合は、この短い時間にどの程度の食事を取れるものか、どの程度ウォーミングアップができるのかなど、分からないことだらけ。
決勝に残った選手の2日目は試合まで十分に時間があるが、敗者復活戦に出る選手は計量から45分後に試合が始まる。食事もせずに試合? まったくの未知の世界だ。だが、自身がレスリングを始めた頃は当日計量であり、3日間連続の計量という大会もあった。「その時のことを思い出したい。決められたことを覚悟してやるだけ。ミスのないようにやり、実力を出し切れるよう頑張らせたい」と言う。
幸い、毎冬に中高生選手が参加しているクリッパン女子国際大会(スウェーデン)のカデットの部は、計量して2時間後に試合開始というスケジュールでやっていて、それを経験している選手もいる。先に経験するグレコローマン・チームからも情報を得ながら、「しっかり乗り切りたい」と気を引き締めた。
成績に関しては、「昨年以上」が、どの大会にも共通する目標だろう。昨年が金8個だったので、今年は金9個が目標か? 同監督は「今年は10階級出場ですよ。金10個です」ときっぱり。
吉田栄利コーチ(三重・一志ジュニア教室)も「去年の成績は立派すぎたけど、それ以上が目標。一人ひとりが自分のレスリングをやれば、優勝できる可能性はある。緊張せず、思い切って闘ってほしい」と要望する。注意することとしては、相手が「JAPAN」ということに怖れてくれればいいが、挑戦者として開き直って向かってきた時。「自分たちも挑戦者と思って、積極的に闘ってほしい」と話した。
計量については、「キッズは早朝計量。計量して、そのまま試合ということは、だれもが経験している。2日目の計量は未知の世界だが、監督とコーチがアシストし、成功させたい」と言う。
昨年46kg級で優勝し、今年は49kg級での優勝を目指す吉村涼菜主将(埼玉・埼玉栄高)は「去年は9階級のうち8階級で優勝しました。今年は10階級なので、全員が優勝し、団体優勝を目指します」と、吉村監督と示し合わせたような第一声。自身の2連覇については「余裕はないですが、今年も勝ちたい」と話し、「女子の初日なので、自分が頑張っていい流れをつくりたい」と言う。
計量が2日にわたることについては「常に体重を気にしないとなりませんが、試合では闘うことに集中したい。今後のために(2日間計量の)いろいろを経験してきたい」と話した。